KPIツリーとは?ロジックツリーとの違いから作り方までを徹底解説!

ビジネスシーンにおいては、最終的なゴールを達成するための手段として、KPIツリーを用いることがよくあります。KPIツリーの活用により、目的達成に必要な要素を因数分解し、具体的なアクションを検討することができるからです。

本記事では、KGI・KPIなどの言葉の意味やKPIツリーの概要、具体的な作り方まで一挙にご紹介します。KPIツリーは幅広いビジネスシーンで活用できるため、ぜひ最後までご覧ください。

KPIツリーとは?

KPIツリーについて説明する前に、まずは「KGI」と「KPI」という言葉の意味を理解しておきましょう。

KGI(Key Goal Indicator:重要目的達成指数)とは、企業が達成すべき最終目標を意味する言葉です。例えば、「前年比200%の営業利益」のように、ビジネスを行う上で目指す具体的なゴールが挙げられます。

次に、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、KGIを達成するために必要なプロセスや成し遂げるべき要素などを意味する言葉です。先程のKGIを例に挙げると、営業利益を増加させるための売上向上やコスト削減などがKPIに該当します。

このように、KPIはKGIを因数分解したものであるといえます。KPIツリーを理解するためには、このKGIとKPIの関係性を覚えておいてください。

そして、KPIツリーとは、目指すべきKGIを頂点に置き、その達成に必要となるKPIを枝葉状に配置した図のことです。一つのKGIに対して複数のKPIが枝葉のように連なるため、樹木に例えられてKPIツリーと呼ばれています。

KPIツリーを作成することで、KGIを達成するために必要な指標を整理でき、具体的なアクションを検討しやすくなります。ビジネスにおける最終目標を達成するためには、KPIツリーの作成が有効な手段になるといえるでしょう。

ロジックツリーとの違い

KPIツリーと混同しやすい言葉として、ロジックツリーが挙げられます。ロジックツリーとは、ある事柄の構成要素(問題・原因など)をツリー状に書き出したものであり、課題に対する解決策を検討するためのフレームワークの一つです。

ロジックツリーは問題を因数分解して考えることができるため、複雑な事柄でもロジカルに捉えることが可能です。例えば、「顧客満足度が低い」という問題に対して、「営業対応が遅い」や「商品価格が高い」などの要素に分解して考えるケースが該当します。

ロジックツリーの代表的な種類としては、

  • 要素分解ツリー(Whatツリー)
  • 原因追求ツリー(Whyツリー)
  • 問題解決ツリー(Howツリー)
  • KPIツリー

などが挙げられます。このように、KPIツリーはロジックツリーの一種であることをご理解ください。

ただし、ロジックツリーは施策の全体感を把握するための大まかな指標であるのに対して、KPIツリーはKGIに繋がる要素を具体的な数値で表します。そのため、ロジックツリーとKPIツリーは共通している部分が多いものの、その粒度は異なるという点を覚えておきましょう。

KPIツリーを作成するメリット

KPIツリーを作成することで、企業は様々なメリットを享受できます。それでは、実際にどのようなメリットがあるのか、具体的な内容を見ていきましょう。

自社課題を見える化できる

KPIツリーを作成することで、KGIを達成するために必要なKPIを網羅的に洗い出し、様々な観点から物事を把握することが可能になります。これにより、今までは気付かなかった自社の課題を見える化し、具体的な改善アクションに繋げることができます。

社員のモチベーション向上に繋がる

KPIツリーを作成する際は、複数のKPIがどのように結びついているのかを整理するため、KPI同士の関係性を分かりやすく把握できるようになります。これにより、各部署の社員が自身のKPIに対する位置付け・重要性を理解することができ、納得した状態で業務に取り組めるため、結果としてモチベーションの向上に繋がります。

PDCAサイクルを高速化できる

KPIツリーでKGIを因数分解することで、プロジェクトの進捗を細かい粒度で管理できるようになります。その結果、現状課題やプロジェクトの進捗状況、具体的な改善アクションなどを検討でき、PDCAサイクルの高速化に繋がります。

KPIツリーの作り方

ここまで、KPIツリーの概要やメリットについてお伝えしました。本章では、KPIツリーの作り方を具体的な5ステップに分けて、注意すべきポイントとともに解説します。

Step.1 KGIを決める

KPIツリーを作成するためには、最終的に目指すべきKGIを決める必要があります。顧客満足度の向上や売上アップなど、自社の最終目標となるKGIを設定してください。

この時、具体的な数値に落とし込むことが重要なポイントです。KGIが抽象的な状態では、そこから逆算して適切なKPIツリーを作成することは不可能なため、定量的な目標としてKGIを設定しましょう。

Step.2 KGIを因数分解してKPIを設定する

次に、設定したKGIを因数分解して複数のKPIに分けます。KGIの構成要素を多角的に検討し、慎重に作業を進めてください。

適切なKPIを設定することでKPIツリーの精度は高まるため、KGIの因数分解はとても重要なプロセスであるといえます。部署や役職を問わず、社内の様々な関係者にアドバイスを求めると良いでしょう。

Step.3 設定したKPIを因数分解する

KGIをもとに具体的なKPIを設定したら、次はKPIを因数分解します。KGIの時と同様、多角的な視点から構成要素を検討してください。

この時、粒度は粗くても構わないので、思い付いたものは一旦書き留めておくことをおすすめします。そして、一定数の要素が出揃った後、それらをもとに取捨選択を行うことで、円滑に作業を進めることができます。

Step.4 各要素を分析して課題を見つける

KPIを因数分解した後は、導き出された要素を分析して課題発見に繋げます。どのような課題があり、どのような点が原因なのか、社内で繰り返し議論を重ねてください。

一般的に、課題の原因は特定の一つではなく、様々な要素が複合的に絡み合っているケースが多いです。そのため、あらゆる観点から多角的に分析作業を進めることが大切です。

Step.5 課題に対する改善アクションを実行する

課題が明らかになれば、その課題を改善するための具体的な打ち手を考えられるようになります。課題に対して優先順位を付けながら、必要なアクションを検討・実行してください。

このように、KPIツリーは作成して終わりではありません。KPIツリーをもとに自社の課題を発見し、その課題を解決するためのアクションを検討・実行するまでが一連のプロセスになります。

そのため、KPIツリーは作成すること自体が目的ではなく、あくまで最終目標であるKGIを達成するための手段であることを覚えておきましょう。

KPIツリーを作成するときの注意点

KPIツリーはビジネスにおいて重要なものですが、作成時には注意すべきポイントがいくつか存在します。本章では、KPIツリーを作成するときの注意点をご説明しますので、自社で作業を進める際の参考にしてください。

MECEを意識する

MECEは「Mutually Exclusive、Collectively Exhaustive」を略したものであり、日本語では「漏れなく、重複なく」を意味する言葉です。つまり、何かを考える際に必要な要素を網羅しつつも、各要素が重複しないように意識することを表しています。

そして、KPIツリーを作成するときは、このMECEを意識しながら作業を進めることが大切です。必要要素が漏れていたり、KPIが重複していたりすると、適切なKPIツリーを作成することはできず、結果として自社のビジネス成長から遠のいてしまいます。

目的に応じて切り口を変える

KPIツリーを作成する際は、自社の目的に応じて切り口を変えることが重要なポイントです。これにより、KPIツリーの精度を高めることができ、適切なアクション検討に繋がります。

例えば、目指すべきゴールが売上向上なのか、課題解決なのかによって、それらを構成するKPIや改善アクションは変化します。そのため、まずは自社の目的を明確化し、その目的を達成するための最適な切り口を検討した上で、KPIツリーの作成作業に移ってください。

複数部署を巻き込んで進める

KPIツリーは分解する要素の数が多いほど細かい状況把握が可能になり、精度の高いアクション検討に繋がります。そして、あらゆる要素を網羅的に考慮するためには、複数部署を巻き込んでKPIツリーを作成することが大切です。

最終的に目指すべきKGIを決めたら、複数部署に現場の状況や課題などをヒアリングし、一つでも多くの要素をKPIとして設定しましょう。これにより、実情に即した改善アクションを検討可能になり、KPIツリーの効果を最大化することができます。

KPIツリーの具体例

ここまで、KPIツリーについて詳しく解説してきましたが、テキストだけではイメージが湧かないという方も多いと思います。そこで、最後にKPIツリーの具体例を図解を用いて分かりやすく解説します。

KPIツリーの具体例

このKPIツリーでは、「売上」をKGIとして設定しています。そして、売上の構成要素を因数分解して「受注件数」と「受注単価」に分け、これら2つの要素をさらに分解して具体的なKPIを設定しています。

KGI(売上)の構成要素として書き出した「受注件数」と「受注単価」は、このままでは具体的なアクションに落とし込むことが困難です。そこで、受注件数を「商談件数」と「受注率」に細分化することで、社員が日常業務の中で指標を追いやすくなるため、これらの要素をKPIとして設定しています。なお、状況によってはKPIをさらに細かい要素に因数分解し、社員目線でより身近な目標を設定することも有効な選択肢になります。

このように、KPIツリーを作成する際には、KGIから逆算して構成要素や具体的な目標(KPI)を定めることが大切です。メンバーが具体的なアクションに落とし込みやすいよう、できるだけ身近な(意識的に数字を追いやすい)内容でKPIを設定することで、具体的なアクションに繋がりやすくなり、KPIツリーの効果を最大化できます。

まとめ

本記事では、KGI・KPIなどの言葉の意味やKPIツリーの概要、具体的な作り方まで一挙にご紹介しました。

KPIツリーを作成することで、課題の見える化や社員のモチベーション向上など、様々なメリットを享受できます。自社のビジネスを成長させる上では、KPIツリーが有効な手段になるといえるでしょう。

また、KPIツリーを作成するためには、決められた手順に沿って作業を進める必要があります。自社でKPIツリーを作成する時に備えて、この記事で具体的な作り方や注意点などを理解しておいてください。

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本記事を参考にして、KPIツリーの作成を検討してみてはいかがでしょうか?

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