データ活用プロジェクトにおけるステークホルダーとのコミュニケーションの重要性

自社のデータを有効活用するためのデータ活用プロジェクトでは、様々な関係者と連携しながらプロジェクトを進める必要があり、ステークホルダーとのコミュニケーションが重要なポイントの一つになります。

本記事では、ステークホルダーの概要やデータ活用プロジェクトにおけるステークホルダー、ステークホルダーマネジメントの進め方などを一挙にご紹介します。自社でデータ活用プロジェクトを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

ステークホルダーとは?

ステークホルダーは英単語の「 stakeholder 」を語源としています。英単語の stakeholder は株主を意味しますが、ビジネスにおけるステークホルダーという言葉は「利害関係者」という意味合いで利用されることが一般的です。

利害関係者とは、特定の企業や組織、活動、プロジェクトなどに一定の関わりを持ち、その動向によって利益や損害を受ける人(または組織)の総称です。利害関係者の具体的な定義は存在せず、組織やプロジェクトと利害をともにする者は、該当する全員が利害関係者として認められます。

そして、ビジネスのプロジェクトにおけるステークホルダーは、プロジェクトの成功や失敗に対して関心を持ち、意思決定や情報共有に関与する重要な役割を果たします。彼らの関与はプロジェクトの方向性や成果に大きな影響を与えるため、プロジェクトを成功させるためにはステークホルダーとの適切なコミュニケーションが重要になります。

ビジネスにおけるステークホルダーの一例としては、

  • 顧客
  • 経営層
  • プロジェクトチーム
  • 委託先

などが挙げられます。

ビジネスシーンにおいては、これらのステークホルダーのニーズや要求を理解し、全体のバランスを保ちながらプロジェクトを進めることが成功の鍵を握るといえるでしょう。

データ活用プロジェクトにおけるステークホルダー

データ活用プロジェクトには多くのステークホルダーが存在するため、プロジェクトを成功に導くためには、各ステークホルダーについて正しく理解することが重要です。

本章では、データ活用プロジェクトにおける代表的なステークホルダーをご紹介します。自社でデータ活用プロジェクトを進める際の参考として、ぜひ内容をご覧いただければと思います。

プロジェクトメンバー(社内)

自社が保有する膨大なデータを分析・活用するデータ分析プロジェクトでは、プロジェクトを進めるための専門チームを結成することが一般的です。そして、社内のプロジェクトメンバーもステークホルダーの一つだといえます。

ただし、社内のプロジェクトメンバーといっても、メンバーごとに立場や役割は異なります。そのため、各メンバーの目線に立ち、適切なコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めることが重要なポイントになります。

プロジェクトメンバー(社外)

社内のリソースが不足しており、自社だけでデータ活用プロジェクトを進めることが難しい場合は、社外に作業委託などを行うことも珍しくありません。そして、この社外のプロジェクトメンバーもステークホルダーの一つです。

プロジェクトメンバーが社外に存在する場合は、特にステークホルダーとのコミュニケーションが重要になります。ステークホルダーと意思疎通ができていなければ、プロジェクトを円滑に進めることは困難であるため、常に目標や進捗を共有し、コミュニケーションを大切にしながら作業を行なってください。

経営層(意思決定者)

自社の経営層(意思決定者)もデータ活用プロジェクトにおけるステークホルダーの一つです。データ活用プロジェクトは会社全体で取り組む大規模なプロジェクトであるため、経営層を巻き込むことも重要なポイントになります。

特に、データ活用プロジェクトでは様々な IT ツールを活用することが一般的です。そのため、経営層とのコミュニケーションを円滑化することで、 IT 予算を確保しやすくなり、プロジェクトを円滑に進めることが可能になります。

一般社員

自社の一般社員もデータ活用プロジェクトにおけるステークホルダーの一つです。なぜなら、経営層やプロジェクトメンバーだけではなく、一般社員もデータ活用プロジェクトによる影響を受けるためです。

例えば、データ活用プロジェクトによって業務プロセスが刷新されれば、一般社員の作業内容や役割も変わることになります。新しいプロジェクトで業務プロセスや業務フローが変わる場合、一部の社員から反対の声が上がる可能性があるため、一般社員とも密にコミュニケーションを取り、プロジェクトのメリット・必要性などを事前に理解してもらうことが重要になります。

ステークホルダーマネジメントの概要と進め方

ステークホルダーマネジメントとは、プロジェクトにおけるステークホルダーを特定し、ステークホルダーの期待やプロジェクトに与える影響などを分析することで、ステークホルダーがプロジェクトに対して効果的に関与できるような適切なマネジメント戦略を策定することです。

ステークホルダーマネジメントについて理解を深めていただくために、世界的に認知されている「 Project Management Body Of Knowledge (プロジェクトマネジメントに関するノウハウ・手法を体系的にマニュアル化したもの)」の内容を一部紹介します。

Project Management Body Of Knowledge では、プロジェクトのマネジメント領域を次の 10 項目に分けています。

  1. 統合マネジメント
  2. スコープマネジメント
  3. スケジュールマネジメント
  4. コストマネジメント
  5. 品質マネジメント
  6. 資源マネジメント
  7. コミュニケーションマネジメント
  8. リスクマネジメント
  9. 調達マネジメント
  10. ステークホルダーマネジメント

このように、ステークホルダーマネジメントはプロジェクトマネジメントにおける重要なマネジメント領域の一つとして考えられており、このステークホルダーマネジメントを実践することでステークホルダーとの関係性を良好に保ち、プロジェクトを成功に導くことができます。

それでは、ステークホルダーマネジメントは具体的にどのように進めれば良いのでしょうか?ここからは、ステークホルダーマネジメントの進め方を解説しますので、ぜひ自社でプロジェクトを進める際の参考にしてください。

1.ステークホルダーの特定

まずは、プロジェクトにおけるステークホルダーを特定します。プロジェクトに関連する人や組織を一覧化し、利害関係や影響度などを整理してください。

ステークホルダーを特定することで、誰とコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めるべきなのかを明確化できます。ステークホルダーの特定はプロジェクト成功の鍵を握る重要なステップであるため、慎重に検討を進めましょう。

2.ステークホルダー・マネジメント計画の策定

ステークホルダー・マネジメント計画とは、プロジェクトに対してステークホルダーが関与するための計画のことです。具体的には、ステークホルダーがプロジェクトに与える影響や重要度に応じて、コミュニケーションを行う頻度やタイミングを決定することなどが該当します。

ステークホルダー・マネジメント計画を策定することで、ステークホルダーと適切なコミュニケーションを取りながらプロジェクトを行うことが可能になります。この時、具体的な定期ミーティングのスケジュールを立て、進捗を管理しながら進めると良いでしょう。

3.ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント

ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメントとは、ステークホルダーの期待を満足させるためのマネジメントを意味する言葉です。ステークホルダーマネジメントにおいては、ステークホルダーのニーズを満たすことが重要視されるため、ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメントは欠かせないステップの一つであるといえます。

具体的な進め方としては、策定したステークホルダー・マネジメント計画に基づいてステークホルダーとコミュニケーションを取り、プロジェクトへの関与を強化します。そして、ステークホルダーを適切に管理しつつ、途中で計画が変更された場合は、その都度、臨機応変に状況を整理することも重要なポイントになります。

4.ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール

ステークホルダー・エンゲージメント・コントロールとは、プロジェクトの進行に伴って様々な状況が変化する中でも、ステークホルダーが満足できるように各種調整(コントロール)を行うことを意味する言葉です。

ステークホルダーとの関係性はプロジェクトの進行具合によって変わるため、ステークホルダーを監視しながらマネジメント計画や戦略を見直し、常に最適化を図ることが重要なポイントになります。この時、ステークホルダーを適切にコントロールするためにも、プロジェクトの正確な進捗把握は必要不可欠です。

このように、ステークホルダー・マネジメントを行うためには、複数のステップを順番に進める必要があります。これらを正しく実践することで、ステークホルダーと良好な関係性を築くことができ、結果としてプロジェクト成功への近道になります。

データ活用プロジェクトを成功に導くためのポイント

ステークホルダーと連携しながらデータ活用プロジェクトを成功に導くためには、大切なポイントをいくつか意識しておく必要があります。自社でデータ活用プロジェクトを実践する際の参考として、内容を正しく理解しておきましょう。

ステークホルダーと目標・ゴールを共有する

データ活用プロジェクトを成功させるためには、ステークホルダーと目標を共有することが重要なポイントになります。これにより、共通のゴールに向けて、ステークホルダーと同じベクトルでプロジェクトを進めることが可能になります。

特に外部委託を行う場合など、社外にステークホルダーが存在するケースでは、ステークホルダーと目標・ゴールを共有し、密にコミュニケーションを取ることが必要不可欠です。プロジェクトチームが一致団結して作業を進めるためにも、はじめに関係者全員の意識統一を図ってください。

ステークホルダー間の利害関係を理解する

一口にステークホルダーと言っても、データ活用プロジェクトには様々なステークホルダーが存在します。そして、ステークホルダーごとに立場が異なるため、それぞれの目線に立って丁寧にコミュニケーションを行うことが大切です。

この時、ステークホルダー間の利害関係を理解するように努めてください。ステークホルダー同士の関係性を正確に把握することで、各ステークホルダーの目線で物事を考えることが可能になり、結果としてプロジェクトを円滑に進めることができます。

ステークホルダーと積極的にコミュニケーションを取る

データ活用プロジェクトの開始後は、プロジェクトメンバー全員が目の前の作業に集中します。しかし、作業を進めるのと同時に、ステークホルダーとのコミュニケーションを積極的に取るように意識してください。

ステークホルダーと密に連携することで、関係者が一丸となって作業を進めることができ、結果としてプロジェクト成功への近道になります。プロジェクトの作業とステークホルダーとのコミュニケーションを並行して、ともに進捗管理をしながら計画的に進めることが大切です。

関連記事:データ分析プロジェクト成功への第一歩:進め方や越えるべき障壁、必要な人材スキル

まとめ

本記事では、ステークホルダーの概要やデータ活用プロジェクトにおけるステークホルダー、ステークホルダーマネジメントの進め方などを一挙にご紹介しました。

データ活用プロジェクトを進めるうえで、ステークホルダーはとても重要な存在になります。常にステークホルダーとコミュニケーションを取り、関係者と密に連携しながらプロジェクトを進めてください。

また、ステークホルダーと良好な関係性を保つためには、ステークホルダーマネジメントが有効な手段になります。この記事を読み返して、具体的な進め方を理解しておきましょう。

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本記事を参考にして、ぜひデータ活用プロジェクトへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

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