データ基盤構築にはどのような費用がかかる?ランニングコストを抑えるための 6 つのポイントを解説!

昨今、企業におけるデータ分析の重要性が高まっており、自社のビジネスを成長させるためには、保有するデータを分析・活用し、具体的なアクションの検討に役立てる必要があります。そして、データ分析を効率化する上では、データ基盤の構築が有効な選択肢になりますが、データ基盤を構築するためには、様々なコストが発生することをご存知でしょうか?

本記事では、データ基盤の概要やデータ基盤構築にかかる代表的な費用、ランニングコストを抑えるためのポイントまで、あらゆる観点から一挙にご紹介します。自社でデータ基盤の構築を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

データ基盤とは?

データ基盤とは、組織や企業がデータを収集・管理・分析するためのシステム群を意味する言葉です。

近年、デジタル技術の発展に伴い、企業が保有するデータ量は増加し、その種類も多様化しています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、消費者ニーズは大きく変化しました。

常に変化するビジネス市場を生き抜くためには、自社が保有するデータを適切に管理し、それらを分析・活用することで適切なアクションに繋げる必要があります。これを実現するうえでデータ基盤はとても有効なツールであり、多くの企業がデータ基盤を利用して自社のデータを管理・活用しています。

データ基盤の導入に伴うコスト

データ基盤の概要を理解したところで、次はデータ基盤の導入に伴うコストについて考えてみましょう。

データ基盤を導入する際には、

  • 初期費用
  • ランニングコスト

の 2 つのコストが発生します。

以下、それぞれについて詳しく解説します。

初期費用

データ基盤の導入に伴い発生する初期費用としては、基盤を構築するためのインフラ部分が該当します。具体的な例としては、サーバーやネットワーク回線などが挙げられます。これらの設備をすべて自社で揃える場合、それなりに大きなコストが発生するため、どの程度の初期費用が必要になるのかを事前にシミュレーションしておくと良いでしょう。

ランニングコスト

データ基盤の導入に伴い発生するランニングコストとしては、基盤を運用するための各種コストが該当します。具体的な例としては、データソース追加に伴う開発コストや、データの加工・整備を行うためのコストなどが挙げられます。データ基盤のランニングコストは多岐にわたるため、どのような費用が発生するのかを次章で詳しくご説明します。

データ基盤導入の初期費用

データ基盤導入の初期費用について考える際には、データ基盤を「クラウド」と「オンプレミス」のどちらで構築するのかが重要なポイントです。データ基盤をクラウドで構築する場合は、ほとんど初期費用が発生しないことが一般的ですが、オンプレミスを選ぶ場合は一定の初期費用が必要になります。

データ基盤をオンプレミスで構築する際の初期費用としては、

  • 物理サーバー
  • ネットワーク回線
  • モジュール(データ基盤構築に必要なハードウェア)

など、データ基盤のインフラを構築するための調達コストが挙げられます。データ基盤の規模にもよりますが、場合によっては数百万円から数千万円の初期費用が必要になるケースもあるため、事前にコストシミュレーションを行い、 IT 予算を先に確保しておくことをおすすめします。

データ基盤のランニングコスト

データ基盤のランニングコストは多岐にわたり、

  • データソース追加に伴う開発コスト
  • データの加工・整備を行うためのコスト
  • データエンジニアの調達コスト
  • ソフトウェアライセンスのコスト

など、様々な費用が発生します。

以下、それぞれのコストについて詳しく解説します。

データソース追加に伴う開発コスト

昨今、ビジネス市場では数多くの API が提供されており、効率的にデータを取得することが可能になりました。しかし、各 API は様々な会社がそれぞれ提供しており、フォーマットなどが統一されていないため、自社でこれらの API を活用するためには、一つずつ仕様を確認しながら、個別に設計・開発を行うことが求められます。

また、ベンダー側でデータソースの仕様変更が発生した場合、これまで利用していた API 連携が使えなくなり、メンテナンス作業が発生する可能性もあります。このように、データソースの追加に伴う開発コストは、データ基盤におけるランニングコストの代表例だと言えるでしょう。

データの加工・整備を行うためのコスト

データソースから取得した情報をそのまま(生データ)の状態でデータ基盤へ保管している場合、それらを有効活用することはできません。そのため、効率的なデータ分析を行うためには、データ基盤に格納されているデータを加工し、綺麗な状態に整理する必要があります。

従来、 Excel などを使ってデータを加工・整理することが一般的でしたが、近年は企業が保有するデータ量が爆発的に増加しているため、膨大なデータを効率的に処理するための仕組みが求められます。例えば、データの名寄せや表記揺れの修正を行うためのプログラム開発や、その処理に耐えうるだけのサーバー準備など、一定のコストが発生することは覚えておきましょう。

データエンジニアの調達コスト

データエンジニアとは、膨大なデータを整理し、データ基盤の設計・構築を行う IT 担当者を意味する言葉です。品質の高いデータ基盤を構築するためには、このデータエンジニアが必要不可欠な存在であると言えます。

しかし、日本は慢性的な IT 人材不足が続いており、優秀なデータエンジニアを確保することは容易ではありません。そのため、データエンジニアの人件費は一般的な職種と比較して高くなる傾向にあり、データ基盤を適正運用する上では、無視できないランニングコストの一つとなっています。



参考記事:リソース不足を解消するデータ分析・基盤構築のアウトソーシング活用

サービスの利用料金

データ基盤を運用するにあたっては、各種サービスの利用料金がコストとして発生します。

代表的な例としては、

  • ソフトウェアライセンス
  • ストレージ
  • データベース
  • ネットワーク
  • セキュリティ

などが挙げられます。

どれもデータ基盤を構築・運用する上では欠かせないものであるため、どの程度の費用がかかるのか、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。

なお、上記でご紹介した各種サービス料金は、クラウドでデータ基盤を構築する際に発生するコストであり、オンプレミスの場合は発生しないこともあります。しかし、一方で電力料金やサーバーの高温化を防ぐための冷却コストなどは自社負担になるため、オンプレミスを検討している場合には、この点に十分注意してください。

データ基盤のランニングコストを抑えるための 6 つのポイント

最後に、データ基盤のランニングコストを抑えるためのポイントを 6 つご紹介します。自社でデータ基盤を活用する際の参考になると思いますので、ぜひ内容を理解しておいてください。

1.リソースの最適化(CPU,メモリ,ネットワーク)

データ基盤のランニングコストを抑えるためには、リソースの最適化が重要なポイントになります。リソースの使用量とコストは比例することが多いため、必要以上に多くのリソースを使用している場合、多額のコストを支払わなければいけません。

そのため、事前にデータ基盤の目的や用途、扱うデータ量などを把握し、リソースを最適化するための工夫を検討することが大切です。なお、オンプレミスでは最初にすべての設備を揃えるため、途中でリソースを増減することは容易ではありませんが、クラウドの場合は契約内容を変更するだけで、簡単に使用するリソース量を変えることができます。

2.オートスケーリング

オートスケーリングとは、自社の状況に合わせて、使用するリソース量を自動的に増減してくれる仕組みのことです。前項でご説明した内容に繋がる話ですが、オートスケーリングの仕組みを導入することで、自社のリソースを最適化でき、ランニングコストの低減に直結します。

クラウドサービスの中には、オートスケーリングの機能が標準搭載されているものも珍しくないため、サービス選定の段階から意識しておくと良いでしょう。一方、オンプレミスでオートスケーリングを実現することは困難であり、自社の状況に合わせて、手作業でリソースを調整する必要があります。

3.リザーブドインスタンスの利用

リザーブドインスタンスとは、リソースの長期利用を事前に約束することで、利用料金の割引を受けられる仕組みのことです。 Google Cloud や AWS など、多くのクラウドサービスがリザーブドインスタンスによる割引制度を採用しています。

一般的には、データ基盤は中長期的に運用することが前提となっているシステムであるため、このリザーブドインスタンスを活用することで、ランニングコストを抑えることが可能です。なお、オンプレミスの場合、事業者が提供するサービスを利用することはなく、リザーブドインスタンスという概念が存在しないため、あくまでクラウド利用時に特化した内容だとご理解ください。

4.ストレージの最適化

データ基盤において、ストレージは重要な要素の一つですが、一口に「ストレージ」と言ってもその種類は多岐にわたります。

例えば、

  • 豊富なセキュリティ機能が搭載されているが料金が高い
  • セキュリティ機能は必要最低限だが料金が安い

など、ストレージサービスごとに特徴は異なります。

そのため、機密性の低いデータは料金が安いストレージを選択したり、アクセス頻度が少ないデータはコスト効率が高いコールドストレージに移動させたりするなど、データの属性に応じてストレージ運用を最適化することで、自社のランニングコストを最小限に抑えることが可能になります。

5.モニタリングとアラート

データ基盤には、企業が保有する様々なデータが格納されており、システム障害やサイバー攻撃などが発生した場合は、甚大な経済的被害を受けてしまうリスクがあります。そして、万が一、何らかのトラブルによりデータ基盤が機能しなくなってしまうと、それらの復旧作業や今後の対策を行うために莫大な追加コストが発生します。

このような事態を回避するためには、データ基盤を常に監視(モニタリング)し、異常を察知した場合に通知(アラート)するための仕組みを構築しておくことが大切です。これにより、サイバー攻撃やシステム障害などのリスクを最小限に抑えることができ、不要なコストの削減に直結します。

加えて、予算アラートの活用も有効な選択肢になります。予算アラートとは、サービスの利用料金が一定額を超えた場合に、自動的にアラート通知を送付する仕組みです。この閾値は任意の金額に設定できるため、予算アラートを上手く活用すれば、想定外のコストの支払いを未然に防ぐことが可能です。

6.データ処理の効率化

昨今、企業が保有するデータ量は爆発的に増加しており、その種類も多様化しています。

そして、データ処理の効率化は、ランニングコストの低減に繋がる重要なポイントであり、そのためには IT ツールの導入が有効な手段の一つになります。例えば、弊社クリエティブホープが提供している「名寄せフォーミー」には、データ処理を効率化するための機能が数多く搭載されています。

名寄せフォーミーを活用することで、企業クレンジングしたコンタクトと会社の紐づけを自動化し、効率的にデータを処理することが可能になります。さらに、最大 34 項目、計 720 万件のリッチな企業データベースを採用しているため、豊富な企業データを自社の名寄せ作業に活用できます。

このように、データ処理を効率化するためのツールを導入し、ランニングコストを抑えるという選択肢も覚えておくと良いでしょう。なお、名寄せフォーミーに関しては、以下の記事で詳しくご紹介していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。

関連記事:名寄せの重要性とは?データの表記揺れを修正するおすすめサービスをご紹介!

また、複数のプロセスやサーバーを使用してデータ処理を並列化し、効率を向上させることができます。例えば、マップリデュースやスパークなどのフレームワークを使用するのが良いでしょう。今回ご紹介した例は一例ですので、他にもデータ処理の効率化する方法はあります。

まとめ

本記事では、データ基盤の概要やデータ基盤構築にかかる代表的な費用、ランニングコストを抑えるためのポイントまで、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。

データ基盤を導入するためには様々なコストが発生しますが、企業にとってデータ基盤構築によるメリットはとても大きいものになります。自社が保有する膨大なデータを分析・活用し、今後の運用改善やアクション検討に役立てることができるため、ぜひデータ基盤の導入を前向きに検討してみてください。

また、データ基盤を構築するためには「クラウド」と「オンプレミス」の 2 つのパターンが存在します。クラウドサービスの利点は、初期費用が少額であり、使用した分だけ料金を支払う点にありますが、使用量の増加に伴い、コストが増大する可能性があるため、いかにコスト管理と最適化を行うのかが重要なポイントです。

とは言え、最初から本格導入しても思うように運用できないリスクがあるため、まずはスモールスタートで開始することをおすすめします。そのためには、初期費用が掛からず、リソースを柔軟に増減できるクラウドの活用が有効な選択肢になります。

そして、データ基盤の構築やデータ分析をスモールスタートする場合、弊社では Snowflake というクラウドサービスを推奨しています。 Snowflake はインフラ管理が不要であり、比較的簡単にデータ基盤を構築できるため、スモールスタートには最適なサービスだと言えます。

なお、データ活用をスモールスタートするための方法は以下の記事で詳しく解説していますので、関心のある方はぜひご覧ください。

関連記事:データ活用はスモールスタートで始めるべき?具体的な方法を 3 ステップで解説!

弊社では、DX を通じて高付加価値を生むサービス・ソリューション開発の支援からその後のマーケティング/セールス領域における生産性の向上をサポートしております。

「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。

こちらの問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。入力内容を確認した上で、担当者から改めてご連絡させていただきます。

強引やしつこいセールスは一切ございませんので、ご安心ください。

本記事を参考にして、データ基盤の構築を検討してみてはいかがでしょうか?

SNSでシェアする

google mapで見る