商談の受注確度を高めるためには、ターゲット企業のステークホルダーを把握し、適切にアプローチを行うことが大切です。そして、ステークホルダーに対して効率的なアプローチを実行するためには、決められたステップを順番に進めていく必要があります。
本記事では、ステークホルダーにアプローチすることの重要性やよくある課題に加えて、ステークホルダーへ適切にアプローチするための手順を 5 ステップで解説します。この記事を読むことで、ステークホルダーにアプローチする際の具体的な流れを理解でき、自社の営業効率化や生産性向上を実現できます。
特に、
- B to B 領域のビジネスを展開している
- 商談には繋がっているが、社内稟議が通らないことが多い
- もう一歩踏み込んだ CRM の活用を実現したい
などに該当する方におすすめの内容となっています。
なお、この記事に掲載している内容は、 HubSpot のプラチナパートナーである弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つです。そのため、記事を読んだ後、すぐに行動に移せるような実践的なノウハウであり、リードの案件化数の増加にも繋がるため、ぜひ最後までご覧ください。
ステークホルダーとは?
まずは、ステークホルダーという言葉の意味を理解しておきましょう。
ステークホルダーは英単語の「 stakeholder 」を語源としています。英単語の stakeholder は株主を意味しますが、ビジネスにおけるステークホルダーという言葉は「利害関係者」という意味合いで利用されることが一般的です。
利害関係者とは、特定の企業や組織、活動、プロジェクトなどに一定の関わりを持ち、その動向によって利益や損害を受ける人(または組織)の総称です。利害関係者の具体的な定義は存在せず、組織やプロジェクトと利害をともにする者は、該当する全員が利害関係者として認められます。
そして、ビジネス商談におけるステークホルダーは、商談結果に対して関心を持ち、導入に向けた意思決定などに関与する重要な役割を果たします。彼らの関与は商談の方向性や結果に大きな影響を与えるため、商談を円滑に進めるためには、ステークホルダーとの適切なコミュニケーションが重要になると言えるでしょう。
ステークホルダーにアプローチすることの重要性
企業が新しい製品・サービスを導入する際、特定担当者の一存で意思決定を行うことは稀であり、一般的には様々な関係者との議論・交渉などを経て導入を決定します。そのため、商談を受注に結び付けるためには、ステークホルダーを巻き込みながら提案を進めていくことが大切です。
ただし、一口にステークホルダーとは言っても、顧客の社内には様々なステークホルダーが存在し、導入プロセスにおいて各ステークホルダーが登場するタイミングはそれぞれ異なります。例えば、決裁者は導入を決める最終局面にならないと登場しないことが多いため、商談の初期段階で決裁者にアプローチしても思うような効果は得られません。
そのため、提案初期は窓口となっている現場担当者とのリレーションを構築することが優先です。そして、導入間近の最終提案時になって初めて、決裁者へアプローチすることで受注の可能性を高められます。
このように、ターゲット企業のステークホルダーへ適切なタイミングでアプローチすることで、商談を有利に進められるようになり、営業活動の効率化や受注確度の向上に直結します。だからこそ、ステークホルダーへのアプローチはとても重要なアクションであり、時間を掛けて取り組むべき内容だと言えるでしょう。
ステークホルダーへのアプローチでよくある課題
次に、ステークホルダーへアプローチする際に陥りがちな課題についてご紹介します。自社で実践する際に困ることがないよう、ぜひ参考までにご覧ください。
複数のステークホルダーに対して不適切なフローでアプローチしてしまう
複数のステークホルダーにアプローチすることは重要ですが、アプローチの順番や流れを間違えた場合、商談に悪影響を与える恐れがあります。
例えば、推進者にアポイントが取れて「今度、決裁者を紹介します。」と言われているにも関わらず、実は別ルートで決裁者へのアプローチを進めており、アポイントの獲得に成功した場合を考えてみましょう。推進者目線では「自分が紹介すると言ったのに無断で動かれてしまった。」とネガティブな印象を感じてしまう可能性があります。
このように、複数のステークホルダーに対して不適切なフローでアプローチした場合、商談に悪影響を与えるリスクがあるため、この点には十分注意してください。なお、同時並行的に様々な動きを進めている時は、進行中のアクションを包み隠さずに先方担当者へ伝えることで、後から悪い印象を与えてしまうリスクを低減できます。
推進者へアプローチできずに導入が進まない
ここで言う「推進者」とは、起案者の指示を受けて、ツールの情報収集や比較検討を行う人を意味します。なお、「起案者」は導入検討を開始するきっかけとなる人を指しており、導入プロセスがトップダウン型の場合は代表者や取締役などが起案者に該当し、ボトムアップ型の場合は現場担当者が起案者になることが一般的です。
そして、推進者は製品の魅力を社内にプレゼンしてくれる立場であり、推進者を味方に付けることで導入までのリードタイムを大きく短縮できます。また、推進者は他のステークホルダーとの間を繋ぐハブの役割を果たすため、推進者を通じて他のステークホルダーにアプローチすることも可能です。
このように、推進者は商談プロセスにおいて重要な役割を果たすステークホルダーですが、推進者の存在を確認できずにアプローチが進まない場合、誰に提案すれば良いのかが分からず、商談が止まってしまう可能性があります。
そのため、顧客のステークホルダーを調査する際には、推進者の特定を優先して作業を進めることをおすすめします。
関連記事:【CRM活用】ターゲット企業のステークホルダーを把握するための方法を 5 ステップで解説
ステークホルダーへアプローチするための 5 ステップ
ここまで、ステークホルダーへアプローチすることの重要性について詳しく解説してきましたが、具体的にどのように実行すれば良いのでしょうか?本章では、ステークホルダーへアプローチするための手順を 5 つのステップに分けてご説明します。
Step.1 ステークホルダーを整理する
はじめに、ターゲット企業のステークホルダーを整理します。顧客内にどのようなステークホルダーが存在するのか、そのステークホルダーはどのような場面で登場するのか、などを分かりやすく整理して、ステークホルダーへアプローチするための事前準備を実施してください。
Step.2 推進者のリードを獲得する
前述した通り、ステークホルダーの中でも「推進者」は商談の鍵を握る重要な存在です。そのため、まずは推進者のリードを獲得するためのアクションを実行してください。仮に、推進者の姓名を特定できているとしても、まだリレーションが構築できていない場合には、推進者との関係構築(リード獲得)を優先的に行う必要があります。
推進者のリードを獲得するための方法としては、
- ターゲット企業の社員からの紹介
- 知人経由での紹介
- ウェビナー
- DM (ダイレクトメール)
- 手紙・ CxO レター
- フォームマーケティング
- ビジネスマッチングアプリ
- 顧問紹介サービス
などが挙げられ、その種類は多岐にわたります。そのため、自社やターゲット企業の状況に合わせて、最適なものを選択することが大切です。
Step.3 推進者にアプローチを行う
推進者のリードを獲得したら、実際に推進者に対してアプローチを行います。自社製品の魅力や顧客目線のメリットなどを丁寧に伝えて、推進者の導入意欲を高めてください。なお、アプローチを円滑に進めるためには、いきなり具体的な提案に入るのではなく、何度か電話・メールなどで連絡を行い、先に信頼関係を構築しておくことも有効な手段になります。
Step.4 影響者にアプローチを行う
推進者にアプローチした後は、影響者に対してアプローチを実施します。なお、影響者とは、一次承認権や決裁権を持たないが、導入検討にあたって影響力を持つ人を意味しており、具体例としては社外コンサルなどが挙げられます。
まずは、影響者に該当する人の名前や所属部署などを推進者にヒアリングしますが、該当部署がターゲット企業内に存在しない場合は、その部署に相当する業務を担う人物を確認することが大切です。例えば、製品導入時にセキュリティチェックが必要で、顧客内に情報セキュリティ部門が存在しない場合、 CTO ( Chief Technology Officer :最高技術責任者)が影響者になると予想できます。
また、社外コンサルのように推進者の業務範囲外に存在する影響者については確認が難しいため、推進者の上長や一次承認者などに相談し、社内の影響者を可能な限り洗い出しておくことが重要なポイントになります。このような観点からも、推進者とのリレーション構築は欠かせないプロセスの一つであると言えるでしょう。
なお、影響者へアプローチを行う際、確認書類のフォーマットや確認フローなどが明確な場合は、それらに則ってアプローチを実行することで、商談を円滑に進めることができます。このように、影響者の目線に立ち、相手の工数を最小化するための工夫を施すことが受注への近道になります。
Step.5 一次承認者にアプローチを行う
最後に、一次承認者に対してアプローチを行います。なお、一次承認者とは、推進者の提案を受けて、稟議を上げるかどうかの一次判断を行う人を意味しており、部長・課長などの中間管理職が該当するケースが一般的です。
一次承認者へアプローチを実施する際は、正式な稟議をあげる前に「どのような点が評価ポイントになるのか」などを、推進者経由で一次承認者にヒアリングしておくことが大切です。これにより、稟議の差し戻しリスクを回避でき、導入までのリードタイムを短縮できます。
以降、同様のプロセスで決裁者へのアプローチを行い、受注に向けて商談を進めてください。
まとめ
本記事では、ステークホルダーにアプローチすることの重要性やよくある課題に加えて、ステークホルダーへ適切にアプローチするための手順を 5 ステップで解説しました。
ステークホルダーへアプローチを行うことで、導入検討のスピードや受注確度を高めることができます。この記事を読み返して、重要なポイントや具体的な実践方法を理解しておきましょう。
そして、ステークホルダーへアプローチを実行するためには、適切なステップを順番に進めていく必要がありますが、 HubSpot 社が提供する IT ツール「 HubSpot 」を活用することで、効率的に作業を進めることが可能です。
HubSpot とは、マーケティングを総合的に促進させる CRM プラットフォームであり、目的に応じて利用できる様々な機能が一気通貫で搭載されています。例えば、マーケティングや営業、コンテンツ管理、カスタマーサービスなど、 HubSpot がカバーしている領域は多岐にわたります。
関連記事:わかりやすい!HubSpotの料金体系をプランごとに徹底解説
そして、 HubSpot の CRM 機能を活用することで、ターゲット企業内の担当者情報や過去の商談結果などを一元的に管理・見える化できます。これにより、ステークホルダーへアプローチするための作業工数を削減でき、自社の業務効率化や生産性向上などに繋がります。
このように、ステークホルダーへアプローチを行う際には、 HubSpot が有効なツールの一つになると言えるでしょう。
なお、今回ご紹介した施策は、弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つになります。この他にも、様々な施策を用意しており、複合的に各種施策を実施することで、リードの案件化数を効率的に増加させることも可能です。
リードマネジメントに関してお困りごとがあれば、こちらの問い合わせフォームより、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、弊社クリエイティブホープは HubSpot のプラチナパートナーにも認定されているため、 HubSpot に関するご相談にも柔軟に対応できます。
関連記事:わかりやすい!Hubspot導入支援パートナーの役割と選び方を解説
「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。
本記事を参考にして、ステークホルダーに対するアプローチの実践および HubSpot の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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