新規開拓より「掘り起こし」を優先すべき理由とその設計
この記事の要約(TL;DR)
- 不動産営業では、問い合わせの多くを占める「長期検討層」への掘り起こしが後回しにされがちです
- 新規開拓と掘り起こし、どちらを優先すべきかはデータに基づいて判断することが重要です
- 施策ネタが枯渇しないよう、通年配信と季節キャンペーンを組み合わせた設計が有効です
- ステップメールとLINE公式アカウントは、顧客の検討段階に応じて役割分担するのが実務的です
- 地道な掘り起こしの積み重ねが、パイプライン全体の底上げにつながります
なぜ「新規開拓」より先に「掘り起こし」に着手すべきなのか
前回までの記事(要件定義のコツ、HubSpot設計の勘所、定着化と伴走設計)で、HubSpot環境の導入から運用開始までをお話して参りました。次は作った器の中をどのような施策で満たしていくかを検討する必要があります。
マーケティング施策を検討する際、多くの企業がまず新規リードの獲得に目を向けがちです。しかし、不動産業界の実プロジェクトを見ていくと、実は既存リードの「掘り起こし」を優先すべきケースが少なくありません。
月間問い合わせの多くを占める「まだ検討中」の顧客層
私たちが支援したプロジェクトでは、月間の問い合わせのうち商談に進むのは2割弱で、残りの多くが「まだ検討中」という長期検討層でした。この層に対する効果的なアプローチが確立されていなければ、新規獲得を強化しても全体の商談化率は伸び悩んでしまいます。
データに基づいた優先順位づけの考え方
新規開拓と掘り起こし、どちらに先に着手すべきかは、感覚ではなくデータに基づいて判断することが重要です。既存リードの量とその推移を見た上で「今回は掘り起こしを優先する」という合意形成をクライアントと丁寧に行うプロセスが、施策の精度を左右します。

掘り起こし施策を止めないための「年間ネタ帳」という発想
通年配信と季節キャンペーンの二層構造
掘り起こし施策を継続させる上で有効なのが、通年で配信し続けるベースのコミュニケーションと、季節ごとのキャンペーンを組み合わせる二層構造です。家電量販店が季節ごとに店内装飾や広告を一新するように、デジタル施策でも記事・資料・メール・広告をセットで動かす発想が参考になります。
施策ネタが枯渇しないための仕組み化
季節キャンペーンを行う上で課題になりやすいのが、施策のネタ切れです。ターゲットごとに「年間を通じてどんなテーマで訴求するか」をあらかじめ整理しておく、いわば年間ネタ帳のような仕組みを持つことで、担当者が都度ゼロから企画を考える負担を減らすことができます。
ステップメールとLINE、どちらをどう使うかの検討プロセス(実プロジェクトより)
顧客の検討段階に応じたチャネル選定
ステップメールとLINE公式アカウントは、どちらか一方を選ぶというより、顧客の検討段階に応じて役割分担するのが実務的です。検討初期はメールでじっくり情報提供を行い、検討が進んだ段階でよりカジュアルなLINEでのコミュニケーションに移行する、といった設計が考えられます。
自動化と人の手によるフォローの役割分担
すべてを自動化するのではなく、営業担当者が個別に追いかけきれない層への自動フォローと、確度が高まった顧客への人の手によるアプローチを、明確に役割分担することがポイントです。営業担当者に新たな負荷をかけず、既存システムのステータス変化をトリガーに自動化フローを組む設計が、現場に受け入れられやすい形です。

掘り起こしの積み重ねが、パイプライン全体の底上げにつながる
新規開拓は成果が見えやすい一方、掘り起こしは地道で目立ちにくい取り組みです。しかし、問い合わせの大半を占める長期検討層を資産化できるかどうかは、パイプライン全体の生産性を大きく左右します。データドリブンな優先順位づけと、継続可能な施策設計の両輪が、その土台になります。
次回は、地域に根差したブランド想起をどう設計し、ターゲットごとのキャンペーンに落とし込むかについてご紹介します。
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