BtoB商談の85%が事前に決まる?! ゼロクリック時代を勝ち抜く「AEO」と「サイテーション」戦略

この記事の要約(TL;DR)
- BtoB商談の85%は、初回面談の時点で候補が絞り込まれています。検索から「AIへの相談」へと購買行動がシフトする中、検索結果の約60%がクリックされない「ゼロクリック時代」が到来しています。
- サイト流入数(PV)の減少を恐れるのではなく、AIの回答内で自社が「推奨(おすすめ)」されるためのAEO(回答エンジン最適化)へ戦略をシフトする必要があります。
- AIに推奨される最大の鍵は、リンクの数ではなく「サイテーション(自然な文脈での言及)」です。第三者からの良質なレビューや言及を獲得する仕組みづくりが求められます。
- サイト内では「判断支援」のコンテンツを充実させ、HubSpot等を活用して顧客体験を個別化する「ループマーケティング」の実践が成約率向上に直結します。
前回の記事「検索からAIへの相談へ。AI時代に問われるコンテンツの『独自性』と選ばれるためのLLMO対策」では、AIで簡単に記事が作れる時代だからこそ、人間による「経験(Experience)」や「一次情報」の価値が高騰していること、つまりコンテンツの「質」についてお伝えしました。今回解説する「AEO」とは、その自社にしかない体験価値を武器に、検索流入の減少という「集客」の課題を乗り越えるためのアプローチです。AIが正しく理解・引用し、ユーザーに推奨(おすすめ)してくれるよう最適化する取り組みを指します。
1. サイトに人が来ない?「ゼロクリック時代」のBtoB購買行動
「最近、リードの獲得ペースが落ちている」「指名検索は変わらないのに、オーガニック流入全体が減っている」
私たちが企業のマーケティング支援に入る中で、現場の担当者様からこのようなご相談を受けることが急増しています。実は今、BtoBの購買行動の根底が大きく覆ろうとしています。
商談前に85%が候補を絞り込む。検索から「AIによる選定」へのシフト
営業の現場で、初回商談の時点で「すでに競合他社との比較表ができあがっている」「自社の弱点をピンポイントで質問される」といった経験はありませんか?
HubSpot Japanの公式YouTube動画『商談前に85%が候補を絞り込む?! AIに選ばれるBtoBマーケ戦略』で紹介されているワンマーケティング社の調査によると、BtoBの初回面談の時点で「購買先の候補がほぼ決まっている、あるいは絞り込まれている」と回答した人は、なんと合計85%に達しています。
出典:ワンマーケティング社 顧客企業の購買プロセス白書2025
この背景にあるのが生成AIの普及です。同動画内で引用されたアイオイクス社の調査では、BtoB製品の選定時に「最初からAI検索を使う」人が12.6%、「GoogleのAI オーバービュー(AIによる概要表示)を参考にする」人が39.4%にのぼっています。つまり、私たちがアプローチする前の「見えないところ」で、AIによる候補の絞り込みが行われているのです。
出典:アイオイクス社 SEO Japan
検索結果の約60%がクリックなし。サイト流入減少の真実
AI検索の普及により、ユーザーは「検索結果画面のAI回答を読むだけで満足」し、サイトを訪れずに立ち去るようになりました。HubSpot Japanの動画『ゼロクリック時代の戦略設計!AEOとサイト体験設計で成果を最大化する方法』によると、現在Google検索の約60%(モバイルに限れば約77%)がクリックなしで終了する「ゼロクリック検索」になっています。
出典:Sparktoro社
検索回数自体は増えているのに、サイトへのクリックは増えない。この現象は「グレートデカップリング」と呼ばれ、マーケターを悩ませています。
流入80%減は失敗ではない?PV至上主義からの脱却
「流入が減る=マーケティングの失敗」と考えてパニックになる必要はありません。例えば、HubSpot社の英語ブログでは2024年以降、オーガニックトラフィックが約80%減少しましたが、彼らはこれを失敗とは捉えませんでした。用語の意味を調べたいだけの「コンバージョン期待値が低い層」を無理に集めるのをやめ、LTV(顧客生涯価値)や成約への貢献度を追う仕組みへと舵を切ったからです。
私たちCRH(クリエイティブホープ)でも、ご支援先の企業様には「PV至上主義からの脱却」を強く推奨しています。流入数が減ったとしても、AI経由ですでに自社の強みを理解している「熱量の高いリード」を獲得できれば、営業の成約率は格段に跳ね上がります。
2. SEOからAEO(回答エンジン最適化)へ。AIの「推奨リスト」に入る条件
サイトに来る前の「AIによる回答」の中に自社の名前を滑り込ませるには、従来のSEOとは異なる新しいアプローチ「AEO(回答エンジン最適化)」が必要です。
独自性(一次情報)をAIに伝える重要性
前回の記事「検索からAIへの相談へ。AI時代に問われるコンテンツの『独自性』と選ばれるためのLLMO対策」では、AIで簡単に記事が作れる時代だからこそ、人間による「経験(Experience)」や「一次情報」の価値が高騰していることをお伝えしました。AEOとは、まさにこの「自社にしかない体験価値」を、AIが正しく理解・引用し、ユーザーに推奨(おすすめ)してくれるよう最適化する取り組みです。
AIが推奨先を選ぶ「5つの情報設計」
前述の動画『AIに選ばれるBtoBマーケ戦略』でも解説されている通り、AIに「この課題なら、この会社がベストです」と選ばれるためには、以下の5つの情報設計が不可欠です。
- 課題と解決策のセット化: 単なるスペックではなく、「〇〇業界の××という課題には、この機能が効く」という因果関係を明記する。
- E-E-A-Tの強化: ネットのまとめ情報ではなく、自社の独自データや実体験に基づく一次情報を発信する。
- 外部からの評価: 自社サイト内だけでなく、レビューサイトや業界メディアなど「外側」に推奨の根拠を作る。
- 構造化データの活用: Schema.org等を用いて、価格や機能、FAQなどを「機械が読み取りやすい形」でマークアップする。
- エンティティの明確化: Web上のあらゆる場所で、自社の定義(何者で、誰の役に立つのか)を一貫させる。

3. AIに「おすすめ」される最大の鍵は、リンクより「サイテーション」
AEOの取り組みにおいて、クリエイティブホープが最も重要視しているのが「サイテーション(自然な文脈での言及)」の獲得です。
サイテーションがAIの信頼を構築する理由
これまでのSEOでは「被リンクの数」が権威性の指標でした。しかしAIは、リンクの有無に関わらず、テキストとして「ブランド名がどう語られているか」を文脈ごと学習しています。
HubSpot Japanの動画『「おすすめ」されない…その原因と解決策!サイテーションとは?』で引用されたAhrefs社の調査でも、「AIの回答におけるブランドの可視性には、被リンク数よりもWeb上でのブランド言及数(サイテーション)のほうが強い相関を示す」と報告されています。つまり、「多くの場所で、ブレずに、ポジティブな文脈で語られている」という事実が、AIにとって最強のシグナルになるのです。
出典:Ahrefs社調査
第三者を通じた「評判」の増幅方法
AIから指名されるための評判形成は、小手先のテクニックでは実現できません。以下のような地道な取り組みで、自然な言及を増幅させることが重要です。
- 導入企業へのインタビュー記事を公開し、顧客企業名と自社名をセットで発信する。
- ITreviewやボクシルなどのレビューサイトで、リアルな使用感や評価を蓄積する。
- ユーザーが自発的に事例やノウハウをSNSでつぶやきたくなるようなコミュニティを形成する。
注意点:ネガティブな文脈やスパムのリスク
注意すべきは、言及の「量」だけでなく「質と文脈」です。どれだけ名前が挙がっていても、「費用が高い」「使いにくい」といったネガティブな文脈であれば、AIは「避けるべき対象」として学習してしまいます。また、不自然なPR記事の量産やスパムリンクは、AIにノイズとして検知され、ブランドの信頼を大きく毀損します。
私たちが支援する際も、「お金で言及を買う」のではなく、カスタマーサクセスを通じて「顧客に真摯に向き合い、自然に良い口コミが生まれる顧客体験を創り出すこと」が、結果的に最強のAEO対策になるとお伝えしています。
4. サイト内では「判断支援」を。ゼロクリック時代のサイト体験設計
ここまでは「サイトの外」での戦略(AEO)でしたが、AIの推奨を受けてあえて「サイトの中」へ来てくれたユーザーへの体験設計も同様に重要です。
ユーザーが求めるのは「基礎知識」ではなく「自社に合うか」
AIで概要を知ってからサイトを訪れるユーザーは、すでに「基礎知識」を持っています。彼らが求めているのは「MAツールとは何か?」という理解促進ではなく、「このツールは本当に自社の運用体制に合うのか?」という「判断支援」です。
業界別のニッチな成功・失敗事例、ROIの算出シミュレーションツール、専門家による辛口のレビューなど、AIの要約では得られない「意思決定のための深い材料」を配置しましょう。
HubSpotで実践する個別化と「ループマーケティング」
深い判断材料を提供したら、それで終わりにせず、ユーザーの行動データをもとに次のアクションを促します。前回の記事では、独自コンテンツを体系化する「トピッククラスター機能」をご紹介しましたが、サイト内でさらに重要になるのが、HubSpotのCRMとCMSを組み合わせた「パーソナライズ機能」です。「この機能比較ページを熟読したユーザーには、次のステップとしてこのホワイトペーパーを提案する」といった個別化が可能になります。
サイトを単なる「カタログ」から、顧客が自社の課題を深く理解するための「学習の場」へと進化させること。これが、流入数が減っても成約率を高める「ループマーケティング」の本質です。

5. まとめ:AI時代のBtoBマーケティングは「指名されるブランド」への進化
BtoBの購買プロセスは「人が検索して探す」時代から「AIと対話して選ぶ」時代へと完全にシフトしました。
この変化の中で勝ち残るには、SEOで網を張りつつ、AEO(回答エンジン最適化)によってAIに「選ばれる理由」を正しく伝え、第3者の良質なサイテーションを獲得することが不可欠です。これは決して検索エンジンを欺く技術ではなく、自社製品が「顧客の課題を解決する最も信頼できる選択肢である」と市場に証明していくブランド構築そのものです。
CRHでは、AI検索時代におけるBtoB企業のマーケティング戦略からHubSpotを活用したサイト体験の再設計まで、一気通貫でご支援しています。
「AI検索に自社がどう認識されているか知りたい」「指名されるブランドになるための具体的なステップを知りたい」とお考えの担当者様向けに、実践的なノウハウをまとめたホワイトペーパーをご用意しました。ぜひ以下よりダウンロードして、貴社の戦略アップデートにお役立てください。
AI対策まずはセルフチェックから
貴社のサイトは、AIに正しく「引用」されていますでしょうか。
近年、AIによる要約(AI Overviewsなど)により、サイトを訪問せずに情報が得られる「ゼロクリック検索」が浸透しています。
実際に、国内でGoogle検索を通じた訪問数は過去2年間で33%減少、その一方で、生成AI経由の流入は急増しており、未対策でも83.0%のサイトでセッション数が増加しています。
本資料では、検索流入の減少をカバーし、AIから「推奨されるブランド」になるためのLLMO(大規模言語モデル最適化)技術・コンテンツ施策を解説します。
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