HubSpotで事業管理・管理会計を実現する方法|標準機能でできること・できないこと【完全ガイド】
HubSpotを導入して営業活動の記録は溜まってきた。パイプラインも整備された。それなのに、月次の経営会議の前になると、結局誰かがCSVを書き出してExcelに貼り、原価を手で入れ、粗利を計算している——。
この状態は、HubSpotの使い方が悪いから起きているわけではありません。HubSpotが得意なのは「顧客と商談を管理すること」であり、「月次の事業管理表を組み立てること」は設計思想の外側にあるからです。
この記事では、HubSpotに蓄積された取引データを使って事業管理・管理会計をどこまで実現できるのかを、標準機能の範囲、行き詰まりやすい壁、そして壁を越えるための4つの手段という順番で整理します。読み終えたときに、自社が次に何をすべきか判断できる状態を目指します。
この記事の内容
1. HubSpotに数字はあるのに、経営会議で使えない理由
1-1. 「営業の見え方」と「経営の見え方」は別物
営業がHubSpotで見たいのは、案件がどのステージにあり、次に何をすべきかです。だからHubSpotの画面は、取引レコード単位・パイプライン単位で最適化されています。
一方、経営が見たいのは「今月いくら着地しそうか」「その売上にいくら原価が乗っているか」「粗利はどの事業から出ているか」です。単位が案件ではなく月であり、指標が進捗ではなく金額の内訳になります。
同じデータを見ているようで、必要な並べ方がまったく違う。これが「データはあるのに使えない」の正体です。
1-2. 転記が発生する3つの構造要因
Excelが消えない現場には、だいたい次のいずれかがあります。
- HubSpotに持っていない数字がある(原価、外注費、工数、目標値)
- HubSpotにある数字を、必要な形に並べられない(月×案件、月×顧客のマトリクス)
- 見せたい相手に見せられない(経営層にアカウントを配れない、逆に見せたくない数字まで見えてしまう)
1つ目はデータの問題、2つ目は表現の問題、3つ目は権限の問題です。それぞれ打ち手が違うため、まず自社がどれで詰まっているのかを切り分けることが先決になります。
なお、CRMを導入したのにExcel集計が残り続ける構造については、HubSpotの数字をExcelに転記しないための設計|脱・二重管理の進め方で詳しく整理しています。
2. HubSpot標準機能でできること
「HubSpotでは経営数字は見られない」というのは誤りです。まず、標準でどこまでできるのかを正確に押さえます。
2-1. レポートとダッシュボード
取引・企業・コンタクトといったオブジェクトのデータを集計し、グラフや表として可視化できます。月次の受注金額の推移、担当者別の受注件数、パイプラインの滞留状況といった営業レポートは、テンプレートを選ぶだけでも一定のところまで作れます。
複数オブジェクトをまたいだ集計にはカスタムレポートビルダーを使います。取引と商品明細、取引と企業といった組み合わせで集計できるため、単一オブジェクトのレポートより表現の幅は広がります。
なお、ダッシュボード数・カスタムレポート数にはプランごとの上限があります。作り込んでいくと上限に当たることがあるため、設計段階で本数の見通しを立てておくと安心です。
2-2. フォーキャスト(売上予測)
Sales Hub Professional以上では、フォーキャスト機能で営業目標に対する進捗を確認できます。取引の受注確度やステージに応じた加重予測、担当者別の達成率などが標準で見られます。
売上目標そのものも「目標(Goals)」として設定でき、受注金額だけでなくリード獲得数や活動量といった指標にも目標を置けます。
営業の予実という意味では、標準機能でかなりの部分がカバーできます。詳しい設定手順と、そこから先の壁はHubSpotで予実管理はどこまでできる?フォーキャストと標準レポートの限界で解説しています。
2-3. 計算プロパティ
Professional以上で使える計算プロパティを使うと、数値プロパティ同士を四則演算した結果を別のプロパティに自動で格納できます。「取引金額 − 原価 = 粗利」といった計算を、入力の手間なく持たせられます。
ただし扱えるのは数値型のプロパティのみで、演算も基本的な四則演算と日付の差分に限られます。条件分岐を含む複雑な計算や、テキスト条件による集計はできません。
計算プロパティで粗利を持たせる具体的な手順はHubSpotで案件別の原価・粗利を管理する方法にまとめています。
2-4. 商品明細(ラインアイテム)
1つの取引の中に複数の商材を持たせる場合は、商品明細を使います。商材ごとの単価・数量・金額を保持でき、カスタムレポートビルダーで商品明細単位の集計もできます。
サービス別・商材別の売上構成を見たい場合、ここを整備しているかどうかで後の分析精度が大きく変わります。
2-5. 会計年度の設定
HubSpotには会計年度の開始月を設定する項目があり、4月始まりの企業でも自社の期に合わせた集計ができます。
3. 標準機能では難しくなること
ここからが本題です。多くの企業が同じ場所で行き詰まります。
3-1. 「月×案件」の表として並べられない
経営会議で使う管理表は、たいてい縦に案件、横に月が並んだマトリクスです。4月にいくら、5月にいくら、と月ごとに数字が並び、右端に累計が出る。あの形です。
HubSpotのレポートは、グラフか、集計値の一覧か、ピボット形式の表という選択肢になります。案件を行、月を列に置いて、しかも売上・原価・粗利・営業利益を切り替えながら見る——という表現は、標準機能の想定範囲を超えます。
具体的に考えてみます。進行中の案件が30件、期間が12ヶ月あるとして、「案件×月」で売上を並べた表を作るとします。ピボット形式のレポートを使えば、行に案件名、列にクローズ日の月を置いた表自体は作れます。問題はその次で、同じ表に原価の行を差し込み、粗利を計算し、さらに営業利益まで見たいとなった瞬間に手が止まります。レポートは1つの集計軸に対して1つの数値を返す作りなので、同じ表の中に複数の指標を積み重ねる構造にはなっていないためです。
結果として、売上のレポート、原価のレポート、粗利のレポートを別々に作り、それぞれをCSVで書き出してExcelで1枚に結合する——という運用に落ち着きます。表を作ること自体はできても、1枚に統合する作業だけが手作業として残るのです。
さらに厄介なのが、売上を複数月に分けて計上したいケースです。たとえば年間1,200万円の保守契約を受注し、会計上は毎月100万円ずつ計上するとします。ところがHubSpotの取引レコードは、基本的にクローズ日という1点の日付を持つ構造です。この1件をそのまま集計すると、受注した月に1,200万円が立ち、残り11ヶ月はゼロになります。営業の実績としては正しいのですが、事業管理の表としては使えません。
回避策としては、月ごとに取引を12件に分割する、カスタムオブジェクトで計上明細を持つ、といった設計が考えられます。ただし前者は営業側の案件管理が煩雑になり、後者は入力と保守の負担が増えます。営業にとって使いやすい形と、経営にとって集計しやすい形が両立しにくい——これが構造上の難しさです。
3-2. 会計年度が4月始まりだと四半期集計でつまずく
会計年度の設定はできるのですが、単一オブジェクトのレポートでは、会計年度に沿った四半期での集計が思うように出せないケースがあります。カスタムレポートビルダー側で作り込むことで回避できますが、レポートを1本作るたびに同じ手間がかかります。
4月始まりの企業であれば、第1四半期は4〜6月、第2四半期は7〜9月です。ところがレポート側が暦年基準で四半期を切ると、1〜3月が第1四半期になります。半期・累計の区切りも同じようにずれるため、「上期の着地見込み」を出そうとするたびに、期間を手で指定し直すことになります。
1本や2本なら手作業でも回りますが、事業部別・サービス別・顧客別と切り口を増やしていくと、同じ調整をレポートの数だけ繰り返すことになります。しかも期が変わればまた設定し直しです。小さな手間が、レポートの本数と年数の分だけ掛け算で効いてくるのがこの問題の性質です。
この回避策の具体的な手順と、運用に乗せたときのコストについては会計年度が4月始まりの企業がHubSpotレポートでつまずくポイントと対処法で扱っています。
3-3. 原価と工数の「入力先」がない
粗利を出すには原価が要ります。原価の大半が人件費であるビジネスなら、工数が要ります。
しかしHubSpotは営業支援のためのツールなので、現場メンバーが日々の作業時間を入力する画面を標準では持ちません。結果として、工数はExcelや別の工数管理ツールで管理され、月末にどこかで突き合わせる——という運用になりがちです。
典型的な月末の流れはこうです。まず現場メンバーが工数表を提出する。管理担当がそれを1枚に集約する。単価を掛けて案件別の人件費を出す。外注費の請求書を突き合わせる。HubSpotから売上のCSVを書き出す。案件コードをキーにして結合する。ようやく粗利が出る。ここまでで数日、案件数が多ければ1週間かかることもあります。
問題は時間だけではありません。この流れだと、粗利が判明するのはその月が終わった後です。工数が想定の2倍かかっている案件があっても、気づくのは手遅れになってからになります。進行中に軌道修正するための数字ではなく、事後報告のための数字になってしまう。
また、案件コードの表記ゆれや、途中でHubSpot側の案件名が変わったことによる結合ミスも起きやすく、「数字が合わない原因を探す時間」が毎月発生します。この突き合わせこそが、二重管理の中心にあります。工数をCRMの内側で扱う設計についてはHubSpotで工数を管理する方法|CRMの中で入力・集計を完結させる設計をご覧ください。
3-4. 見せたい人にだけ見せる、が難しい
経営数字を扱う画面は責任者だけに、工数の入力は現場メンバーに。この配り分けをレポート単位・画面単位で細かく制御しようとすると、権限設計が複雑になります。
実務では2方向の要請が同時に発生します。ひとつは「見せたくない数字を隠したい」。原価や担当者ごとの粗利は、全員に開示するには繊細な情報です。もうひとつは「見てもらいたい人に届けたい」。役員や事業部長は日常的にHubSpotを触るわけではないので、必要な数字だけを見られる状態にしておきたい。
ところがHubSpotの権限はオブジェクトやレコード単位が基本で、「この画面は責任者だけ」「この人は自分の担当顧客の工数だけ編集可」といった細かい配り分けを実現しようとすると、チーム設定と権限セットが複雑になっていきます。
「経営層に見せるためだけにアカウントを増やすのか」という論点も出てきます。実際、これがBIツール導入の動機になっているケースは少なくありません。
3-5. 作り込むほど、作った人しか触れなくなる
標準機能の範囲で頑張って作り込むこと自体は可能です。ただ、カスタムプロパティを増やし、ワークフローで値を更新し、カスタムレポートを何十本も積み上げていくと、設定した担当者が異動した瞬間に誰も直せない資産になります。
よくあるのは、カスタムプロパティが50個を超え、そのうちどれが現役でどれが過去の名残なのか誰も説明できなくなる状態です。新しい事業部が増えてパイプラインを追加しようとしたときに、既存のレポートが何を参照しているか分からず、触るのが怖くて手を付けられない。結局、新しい事業部だけExcelで管理が始まる——という逆戻りも起きます。
「HubSpotで作り込む」という選択肢を検討する際は、作れるかどうかではなく、3年後も維持できるかどうかで判断することをおすすめします。
3-6. 「先月時点でどう見ていたか」が残らない
意外と見落とされがちなのが、この点です。HubSpotのレポートは、常に現在のデータを集計して表示します。つまり、いま見えている「今期の着地見込み」は、あくまで今日時点の値です。
経営会議で本当に知りたいのは、多くの場合その差分です。先月時点では今期の着地を5億円と見ていたのに、今月は4億6千万円になっている。だとすれば、どこで4千万円が消えたのか。失注したのか、期ずれしたのか、そもそも見込みが甘かったのか。この問いに答えるには、過去のある時点でどう見えていたかの記録が必要です。
標準機能でこれをやろうとすると、毎月誰かがレポートをCSVで書き出して保存し、後から比較する運用になります。手作業なので抜けが出ますし、抜けた月は永久に復元できません。見込みが積み上がっているのか目減りしているのかを追うには、スナップショットが自動で残る仕組みが要ります。
HubSpotの取引データを、月次の管理表として見る
HS viewは、HubSpotに蓄積された取引データを月次の表形式に組み替え、売上・原価・粗利・工数を1つの画面群で管理できる事業管理アプリです。御社の項目・パイプライン・会計年度に合わせて初期設定した状態でご提供します。
4. 壁を越えるための4つの手段
行き詰まったときの選択肢は、大きく4つです。
手段1:Excel・スプレッドシートで運用する
内容:HubSpotからCSVを書き出し、Excel上で原価や工数と突き合わせて管理表を作る。
向くケース:案件数が数十件規模で、担当者が1〜2名。まだ管理の型そのものが固まっていない段階。
限界:件数が増えると集計作業が月次業務を圧迫します。何より、数字の更新が月1回になるため、期中の異常に気づくのが遅れます。作成者以外がメンテナンスできなくなる属人化も起きやすい手段です。
Excelを選ぶこと自体は悪くありません。問題は、Excelのまま規模が大きくなることです。目安として、案件が100件を超える、関わる人が5人を超える、シートが複数に分かれて相互参照し始める——このいずれかに当てはまったら、限界が近いと考えてよいと思います。特に「前任者が作ったシートを誰も直せない」状態になったら、その時点で別の手段の検討時期です。
手段2:HubSpot標準機能で作り込む
内容:カスタムプロパティ、計算プロパティ、カスタムレポートビルダー、ワークフローを組み合わせて、HubSpotの中で完結させる。
向くケース:見たい数字が売上と受注確度が中心で、原価や工数の管理はそこまで求めていない。HubSpotに詳しい担当者が社内にいる。
限界:3章で挙げた「月×案件の表」「原価・工数の入力先」「会計年度の四半期」といった壁は、作り込みでは越えにくい領域です。また保守の属人化リスクが残ります。
追加コストがかからないため最初に検討されやすい手段ですが、費用がゼロなわけではありません。設計と構築に社内の担当者が費やす時間、そして毎月の微修正にかかる時間が、目に見えない形で発生します。外部パートナーに構築を依頼するとしても、要件が固まっていなければ試行錯誤の分だけ費用は伸びます。
判断の目安としては、見たい数字が売上と受注確度だけで完結するかどうかです。原価と工数が入ってきた時点で、この手段の適性からは外れ始めます。逆に、そこまで求めないのであれば、わざわざ別のツールを増やす必要はありません。
手段3:BIツールで可視化する
内容:Looker Studio、Power BI、Tableauなどに HubSpotのデータを連携し、経営向けダッシュボードを構築する。必要に応じてETL/DWHを挟む。
向くケース:HubSpot以外(会計、広告、Webなど)のデータも統合して見たい。社内にBIを扱える人材がいる。
構成は大きく2パターンあります。ひとつはコネクタでHubSpotとBIを直接つなぐ方法で、手軽に始められる反面、扱えるデータ量や項目に制約が出ることがあります。もうひとつはETLツールを使ってDWHにデータを溜め、そこからBIで参照する方法です。柔軟性は高く他のデータとも統合できますが、ETLとDWHの利用料が別途かかり、設計・運用にもエンジニアリングの知見が要ります。
限界:BIは「見る」ためのツールです。原価や工数を入力する場所にはならず、入力された値をHubSpotに書き戻すこともできません。データ整備の手前の問題——そもそも原価データがどこにも無い——は、BIを入れても解決しません。
ここは順序を間違えやすいところです。「経営数字が見えない」という課題に対してBI導入が提案されることは多いのですが、見えない原因が「並べ方」ではなく「そもそもデータが無い」である場合、BIを入れても空のダッシュボードができるだけです。まず自社がどちらで詰まっているのかを確認してください。
もうひとつ、作った後の維持も論点になります。BIのダッシュボードは、作った人が異動すると更新が止まりがちです。この点はHubSpotの作り込みと同じ構造の問題を抱えています。
判断材料は経営数字はHubSpotとBIツール、どちらで見るべきか|Looker Studio連携との使い分けで詳しく比較しています。
手段4:専用アプリ/原価管理ERPを導入する
内容:案件別の収支管理に特化したアプリや、プロジェクト型ビジネス向けのERPを導入する。
向くケース:原価・工数まで含めた事業管理を、継続的な業務として回したい。
限界と分岐:ここは「既にCRMがあるか」で選ぶものが変わります。販売管理から会計まで一気に刷新するならERP型ですが、導入期間もコストも大きく、既にHubSpotで営業データが回っている企業には二重投資になりがちです。CRMのデータを起点に事業管理層だけを足す、という選び方もあります。
ERP型を選んだ場合に起きやすいのが、案件情報の入力先が2つになることです。営業はHubSpotで商談を管理し、受注したらERPにも案件を登録する。この二重入力は、当初は「受注時だけだから」と許容されるものの、金額変更や納期変更のたびに両方を直す運用になり、やがてどちらかが実態とずれていきます。
逆に、既にHubSpotが営業の基盤として機能しているなら、その取引データを原本として扱い、足りない層(原価・工数・月次の並べ方)だけを補う構成が現実的です。この場合に確認すべきは、HubSpot本体のデータに書き込みが発生するかどうかです。読み取り専用に近い形で連携するのか、双方向で書き換えるのかによって、事故が起きたときの影響範囲がまったく変わります。
5つの手段(Excelを含む)の詳細な比較は案件別収支を見える化する5つの手段を比較にまとめました。
5. 手段別の比較
| Excel運用 | HubSpot作り込み | BIツール | 専用アプリ | 原価管理ERP | |
|---|---|---|---|---|---|
| 初期コスト | ほぼ不要 | 小〜中 | 小〜中 | 中 | 大 |
| 月額コスト | 不要 | 既存プラン内 | 無料〜中 | 中 | 大 |
| 導入期間 | 即日 | 数週間〜 | 数週間〜数ヶ月 | 1〜2ヶ月 | 半年〜 |
| 数字の鮮度 | 月1回 | ほぼリアルタイム | 日次〜リアルタイム | 日次〜リアルタイム | リアルタイム |
| 原価の入力先 | あり(手入力) | 作れば可 | なし | あり | あり |
| 工数の入力先 | 別管理 | 標準ではなし | なし | あり | あり |
| 保守の属人性 | 高い | 高い | 中 | 低い | 低い |
| 既存HubSpotとの重複 | ― | なし | なし | なし | 大きい |
※ コストは相対的な目安です。具体的な金額は各サービスの公開情報および見積もりをご確認ください。
6. どこから着手すべきか
次の順番で切り分けると、選ぶべき手段が絞れます。
Q1. そもそも原価・工数のデータが社内のどこかに存在するか?
→ 存在しない場合、可視化の前に「誰がいつ入力するか」の設計が先です。BIを検討するのは早い段階です。
Q2. 見たいのは営業の予実か、事業の収支か?
→ 営業の予実(受注ベース)だけなら、HubSpot標準機能の作り込みで届く可能性があります。原価・粗利まで見たいなら、標準機能の外に出る前提で考えます。
Q3. HubSpot以外のデータも統合したいか?
→ 統合したいならBIが有力。HubSpotの取引データが中心で足りるなら、BIは過剰投資になりがちです。
Q4. 販売管理・会計まで作り直す必要があるか?
→ 必要ならERP。必要ないなら、既存のHubSpotを活かして事業管理層だけを足す方が、期間もコストも抑えられます。
Q5. 誰がその仕組みを保守するか?
→ 社内に専任がいないなら、設定ベースで運用でき、変更を外部に委託できる形を選ぶのが現実的です。
7. 業種・目的別に深掘りする
事業管理の設計は、ビジネスモデルによって重点が変わります。
- 受託・制作・コンサルなど、原価の大半が人件費のビジネス → 受託・制作会社がHubSpotで案件採算を管理する方法
- どの顧客に注力するかを数字で決めたい → 顧客企業別の収益性を分析する方法|優良顧客の見極めとクロスセル余地の見つけ方
- アサインと稼働率を感覚で決めている → メンバーの稼働率とアサインをデータで判断する方法
また、そもそもHubSpot側のデータ項目が整理されていない場合は、可視化の前に整備が必要です。項目やパイプラインの棚卸しについてはHubCARE(HubSpot運用整理・メンテナンスサービス)もあわせてご覧ください。
まとめ
- HubSpotは営業の管理には強いが、「月次の事業管理表」を組み立てる設計にはなっていない
- 標準機能でもレポート・フォーキャスト・計算プロパティで相当のことができる。まずここを正確に把握する
- 詰まるのは「月×案件の並べ方」「原価・工数の入力先」「会計年度の四半期」「権限の配り分け」の4点
- 解決手段はExcel/HubSpot作り込み/BI/専用アプリ・ERPの4系統。既にHubSpotがあるかどうかで最適解は変わる
- 選定の分かれ目は「作れるか」ではなく「3年後も維持できるか」
よくあるご質問
Q. HubSpotのどのプランがあれば事業管理まで踏み込めますか?
計算プロパティやカスタムレポートビルダーはProfessional以上で利用できます。StarterやFreeの範囲では、レポートでの作り込みに早い段階で限界が来ます。
Q. 原価データは会計ソフト側にあります。会計から引く方が正確では?
確定値としては正確ですが、会計側の数字は締めの後に確定するため、期中の判断には間に合いません。進行中の案件を見るなら、営業データ側を起点にした概算と、会計側の確定値を併用するのが現実的です。
Q. まずBIツールを入れて様子を見るのはどうでしょうか。
見たい数字がHubSpot内に既に揃っているなら有効です。原価や工数が社内のどこにも無い状態でBIを入れると、「きれいなダッシュボードに載せる数字が無い」という結果になります。入力の設計が先です。
Q. HubSpotをカスタム開発で拡張するのと、専用アプリを使うのはどちらが良いですか?
一度きりの要件ならカスタム開発でも構いませんが、パイプラインや項目は事業とともに変わります。変更のたびに開発が必要な構成にすると、維持コストが膨らみます。設定ベースで変更できる仕組みかどうかを確認してください。
月次の事業管理をHubSpotで完結させる:HS view
売上見込・原価・粗利・工数を1つの画面群で管理。HubSpot標準画面にはない「月次の並び」で数字を追えます。HubSpotへの書き込みは工数データのみに限定しているため、本体のデータを壊す心配もありません。