会計年度が4月始まりの企業がHubSpotレポートでつまずくポイントと対処法

「第1四半期の着地を出して」と言われてHubSpotのレポートを開いたら、1〜3月で集計されていた——。4月始まりの企業でHubSpotを使い始めると、多くの場合ここでつまずきます。

原因ははっきりしています。HubSpotの会計年度は、初期値が1月から12月に設定されているためです。日本企業の多くが採用する4月始まりは、設定を変えない限り反映されません。

やっかいなのは、設定を変えた後にもう一段の作業が必要になる点です。この記事では、会計年度の設定から四半期集計の作り方、そして回避策を運用に乗せたときのコストまでを順に整理します。

HubSpotで経営数字を扱う話の全体像はHubSpotで事業管理・管理会計を実現する方法【完全ガイド】にまとめています。

1. 前提:会計年度の初期値は1月始まり

HubSpotのアカウントは、既定で会計年度が1月から12月として設定されています。米国発のプロダクトなので当然といえば当然ですが、4月始まりの企業がそのまま使うと、目標もフォーキャストもレポートも、すべて暦年基準で動きます。

1-1. 設定を変える

会計年度の開始月は、アカウント設定から変更できます。設定を変えると、目標や予測を自社のカレンダーに合わせて追跡できるようになります。

導入初期に必ず済ませておくべき作業です。運用が始まってから変更すると、既存のレポートやダッシュボードの見え方が一斉に変わり、過去に共有した資料と数字が合わなくなります。

1-2. 設定しただけで解決すること/しないこと

対象 会計年度設定だけで足りるか 補足
目標・フォーキャスト 足りる 自社の期に沿って進捗を追える
カスタムレポート 追加の指定が必要 日付フィールドで会計年度を使う指定を有効にする
単一オブジェクトレポート 制約あり 会計年度に沿った四半期の集計はカスタムレポート側で作る

この表の2行目と3行目が、つまずきの正体です。

2. つまずき1:設定しても、レポートは自動では切り替わらない

会計年度を4月始まりに変更したのだから、レポートも当然それに従うだろう——と考えるのが自然です。しかし実際には、レポート側で「会計年度を使う」という指定を明示的に有効にする必要があります。

カスタムレポート作成ツールでは、日付を扱うフィールドの設定に会計年度を使用するかどうかのチェックボックスがあります。これを入れて初めて、集計の区切りが自社の期に沿います。

逆に言えば、チェックを入れ忘れたレポートは暦年基準のまま動きます。同じダッシュボードの中に、会計年度基準のレポートと暦年基準のレポートが混在していても、見た目では区別がつきません。数字が合わないという相談の原因が、これだったというケースは珍しくありません。

3. つまずき2:四半期の番号が実務とずれる

4月始まりの企業にとって、第1四半期は4〜6月です。暦年基準のままだと、次のようにすべてずれます。

区分 4月始まりの実務 暦年基準(初期値)
第1四半期 4月〜6月 1月〜3月
第2四半期 7月〜9月 4月〜6月
第3四半期 10月〜12月 7月〜9月
第4四半期 1月〜3月 10月〜12月
上期 4月〜9月 1月〜6月

丸ごと1四半期分ずれるため、気づかずに資料を作ると数字が根本から違います。特に危ないのが第4四半期です。4月始まりの企業では1〜3月が期末の追い込み期間ですが、暦年基準では10〜12月が第4四半期として集計されます。期末の着地見込みを確認したつもりが、まったく別の期間を見ていた、ということが起こります。

4. 対処:カスタムレポートで四半期集計を作る

会計年度に沿った四半期の集計は、カスタムレポート作成ツールで作ります。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. アカウント設定で会計年度の開始月を4月に変更する
  2. カスタムレポート作成ツールで新規レポートを作る
  3. データソースとして取引などのオブジェクトを選ぶ
  4. 日付フィールドの設定で、会計年度を使用する指定を有効にする
  5. 集計の粒度を四半期に設定する
  6. ダッシュボードに追加する

ポイントは4番目です。ここを飛ばすと、会計年度を設定していても暦年で集計されます。作成時に必ず確認してください。

※ 画面の名称や配置は変更される場合があります。実際の設定時は、HubSpotの管理画面とナレッジベースで最新の手順をご確認ください。

4-1. 作ったレポートの検算

設定できたつもりでも、実際には暦年のままということがあります。公開前に必ず検算してください。方法は単純で、期の最初の月だけを絞り込んだ数字と、第1四半期の数字を突き合わせるだけです。

第1四半期の集計に1〜3月のデータが含まれていないか、4月のデータが第4四半期に入っていないか。この2点を確認すれば、設定の成否は判断できます。

会計年度の設定を、毎回やり直さずに済ませる

HS viewは、御社の会計年度の開始月に合わせて初期設定した状態でご提供します。月次・四半期・年間の並びは最初から自社の期に沿っているため、レポートを作るたびに設定を確認する必要がありません。

サービス資料をダウンロード(無料) HS viewのサービス詳細を見る →

5. 上期・下期・累計をどう見せるか

四半期が出せるようになっても、日本企業の会議でよく使う「上期・下期」「期初からの累計」は、そのままでは出てきません。

5-1. 上期・下期

四半期を2つずつまとめた区分なので、レポート側にその概念がなければ、期間を指定して個別に作ることになります。第1・第2四半期を含む期間で1本、第3・第4四半期で1本、という形です。切り口(事業部別、サービス別など)が増えるたびに、この本数が掛け算で増えていきます。

5-2. 累計

「期初から現在までの累計が、目標に対してどこまで来ているか」は、経営会議で最も見られる数字のひとつです。ところが月別の棒グラフを並べただけでは、累計は読み取れません。

各月の数字を足し上げた累計線を同じ図の中に置きたい、というのは自然な要求ですが、標準のレポートでは表現しにくい部分です。結局CSVに書き出してExcelで累計列を作る、という運用に戻りがちなところです。

6. 回避策を運用に乗せたときのコスト

ここまでの内容は、すべて「手順を踏めば実現できる」ものです。技術的に不可能な話ではありません。問題は、その手順がレポートの本数だけ、そして毎期繰り返し発生することです。

6-1. 掛け算で効いてくる

全社の四半期集計を1本作るだけなら、30分程度の作業です。しかし実務で必要になるのは、事業部別、サービス別、担当者別、顧客別——と切り口ごとのレポートです。それぞれに会計年度の指定を入れ、検算する。この時点で数時間かかります。

さらに、上期・下期・累計の見せ方を加えると本数は増えます。そして期が変わるたびに、期間指定の見直しが発生します。

6-2. 引き継げないという問題

もうひとつのコストが属人化です。会計年度の指定を有効にしたかどうかは、レポートの見た目からは分かりません。作った本人は覚えていても、後任者はダッシュボードに並ぶレポートのどれが正しく設定されているのか判別できません。

結果として、「このレポートは信用していいのか」を確認するために、毎回検算し直すことになります。数字を早く見るために作った仕組みが、確認作業を増やしているという逆転が起きます。

6-3. 判断の目安

次のような状態になっているなら、レポートの作り込みで解決しようとする段階を過ぎています。

  • 会計年度対応のために作ったレポートが10本を超えている
  • 期が変わるたびに、レポートの期間指定を見直す作業が発生している
  • ダッシュボードの中に、正しく設定されたものとそうでないものが混在している
  • 結局CSVに書き出してExcelで累計や上期・下期を作っている

会計年度の問題は単独で起きるわけではなく、予実管理の設計全体と絡みます。目標値の持ち方や見込の集計まで含めた話はHubSpotで予実管理はどこまでできる?フォーキャストと標準レポートの限界で扱っています。

まとめ

  • HubSpotの会計年度は初期値が1月始まり。4月始まりの企業は導入初期に設定を変更する
  • 設定を変えるだけでは足りず、カスタムレポート側で会計年度を使う指定を有効にする必要がある
  • 指定を忘れたレポートは暦年基準のまま動き、見た目では区別がつかない
  • 暦年基準だと四半期が丸ごと1つずれる。特に期末(1〜3月)の見誤りに注意
  • 上期・下期・累計は別途作り込みが必要。切り口の数だけ本数が増える
  • 対応レポートが10本を超えたら、作り込み以外の手段を検討する時期

よくあるご質問

Q. 運用開始後に会計年度を変更しても大丈夫ですか?

変更自体は可能ですが、既存のレポートやダッシュボードの見え方が一斉に変わります。過去に共有した資料と数字が合わなくなるため、変更する場合は関係者への事前周知と、変更前の数字の保管をおすすめします。可能であれば導入初期に済ませてください。

Q. 単一オブジェクトレポートでは会計年度の四半期集計はできないのですか?

会計年度に沿った四半期での集計は、カスタムレポート作成ツール側で作るのが確実です。単一オブジェクトのレポートは手軽ですが、期の区切りを自社に合わせる用途では制約があります。仕様は更新される場合があるため、実際の画面でご確認ください。

Q. 3月決算ではなく、9月決算や12月決算でも同じ問題は起きますか?

起きます。暦年(1月始まり)以外の会計年度であれば、開始月が何月であっても同じ対応が必要です。ずれる幅が変わるだけで、構造は同じです。

Q. Excelで作り直すのと、レポートを整備するのはどちらが早いですか?

1回限りならExcelの方が早いことが多いです。ただし毎月・毎期繰り返すのであれば、レポート側を整備した方が累計の作業時間は短くなります。判断の基準は、その集計を今後何回作るかです。

月次の事業管理をHubSpotで完結させる:HS view

売上見込・原価・粗利・工数を1つの画面群で管理。対象パイプライン、金額の集計に使う項目、会計年度の開始月を、御社のHubSpotに合わせて弊社が設定した状態でお渡しします。

サービス資料をダウンロード(無料) オンラインデモ・無料相談 →

関連記事

HubSpotの導入・活用支援ならクリエイティブホープ

株式会社クリエイティブホープは20年以上、業種業態を問わないDX・デジタルマーケティングのコンサルティング・伴走支援を行って参りました。単純なHubSpotへの専門性だけでなく、事業戦略から実行まで網羅的に支援してきた経験で、貴社のHubSpot環境の全体最適をご提案申し上げます。



HubSpot_Platinum_rank

SolutionPartner プラチナパートナー

HubSpotのプラチナパートナーとして多くの実績があります。HubSpot CRMの実装・移行、営業とマーケティングの連携、カスタマーサクセストレーニング、ナレッジベース・ヘルプデスクの実装・カスタムAPI連携など多数の実績がございます。

qualification

HubSpot資格取得 所有メンバー多数

導入や運用は30名を超えるHubSpotの有資格社員の中から、ご要望やプロジェクトに合わせて適切なメンバーをアサイン。豊富な知識や経験に対してこれまでHubSpot社から「Customer First in Japan 2021」の表彰やコミュニティでの活動を表彰されています。

systemintegration

システム連携・開発 複雑な案件支援

社内にはエンジニアがおり、HubSpotと他システムとの連携やUI改善開発など、よりHubSpotを活用できる環境構築を支援できます。HubSpotのUIエクステンションやAPI活用だけでなく、他システムの連携を多数ご支援実績がございます。