寄付フォームへの遷移率2倍。寄付促進とブランド強化を実現した国際NGOのWebサイトリニューアル事例
国際NGO
今回の国際NGOは、ファンドレイジング、カスタマーサポート、広報、マーケティングなど、複数の部門が連携し、活動の拡大と寄付者の獲得を目指して施策を実行しています。弊社とのプロジェクトは2023年9月に開始され、現在も進行中です。
課題
Webサイトの機能不全と寄付促進の遅れ
今回の国際NGOはデジタルファンドレイジングを推進するにあたり、Webサイトに大きな課題がありました。
寄付者や支援者に対して効果的にメッセージを伝えることができておらず、活動の拡大に伴い、ターゲットを再設定していましたが、Webサイトでその新しいターゲット層に対して適切にアプローチできていませんでした。
さらに、活動のシフトチェンジによって既存寄付者の離反が懸念されていましたが、Webサイトはそれを防ぐための十分な対策が取られていませんでした。
上記に加えて、以下のような課題がデジタルファンドレイジングの成果向上を妨げていました。
モバイル対応の不備
Webサイトは業界のトレンドに追いついておらず、モバイルファースト設計が十分に反映されていませんでした。そのため、スマートフォンからのアクセスユーザーにとって親切な設計ではなく、利便性に欠けており、適切な情報を届けられていないことから、寄付に関するページのページビューが思わしくありませんでした。
Webサイトの運用環境の複雑さ
単発でキャンペーンを実施する際に都度マイクロサイトを立ち上げることが多く、WebサイトのベースとなるCMS(コンテンツマネジメントシステム)が複数存在していました。更新の手間が多くかかっているなど、運用に対して多くのコストがかかっていました。
デザインの古さ
前回のリニューアルからかなりの時間が経っており、時代遅れなデザインの印象をユーザーに与えていました。そのため、ユーザーのサイト内回遊への意欲を阻害してしまっている状態でした。
また、Web経由での寄付をユーザーにしてもらうために必要な情報も整理されていない状態で、寄付金額の向上に対するボトルネックになっていました。
寄付者データの統合不足
CRMツールとしてSalesforceを導入していましたが、寄付者データが統合されておらず、寄付者情報の管理が煩雑となっていました。そのため、寄付者とのコミュニケーションが円滑に行われておらず、継続的な寄付を推進することができていませんでした。
さらに、リニューアル前に実施した簡易的なデータ分析によると、次のような点が明らかになりました。
モバイルのパフォーマンスが低い
サイトへのアクセスの半数以上がモバイルデバイスからでしたが、モバイルでのページ表示速度が遅く、平均セッション時間が短いという問題がありました。また、Googleなどの自然検索からの流入は多いものの、寄付に結びつくコンバージョン率(CVR)が低いことが課題として浮上しました。
回遊性の低さ
訪問者がサイト内で十分に活動内容に触れる前に離脱しており、活動や団体への共感が生まれにくいことが確認されました。
ユーザー体験の不足
記事の構造や内容がユーザーにとって直感的にわかりづらく、寄付ページまでの導線も複雑なため、寄付ページにたどり着くユーザーの数が少ないことも課題として発見しました。
このようなクライアントからのご要望や、弊社の分析結果を踏まえ、Webサイトは寄付促進やブランディング面で効果を十分に発揮していなかったことが明らかになり、全面的なリニューアルをすることになりました。
解決策
寄付促進とブランド強化を実現するWebサイト
このようなクライアントからのご要望や、弊社の分析結果を踏まえ、Webサイトは寄付促進やブランディング面で効果を十分に発揮していなかったことが明らかになり、全面的なリニューアルをすることになりました。
1. ユーザーフローの策定
ユーザーがWebサイトを訪れてから寄付に至るまでの流れを明確にするため、ペルソナ設定およびカスタマージャーニーの策定を行い、その情報を基にユーザーとのコミュニケーションフローを見える化しました。これにより、ユーザーの検討度に応じた適切なコミュニケーションがプロジェクト内で可視化され、寄付への導線をシンプルかつ効果的になるような設計やマーケティング施策立案に活かされました。
2. レスポンシブデザインとスマホファーストUI
モバイルユーザーに対応するため、レスポンシブデザインを導入し、スマホファーストのUIに変更しました。これにより、スマートフォンからのアクセスでも快適に操作できる環境を整え、寄付アクションへのスムーズな流れを構築しました。
3. 情報設計と導線の最適化
訪問者が団体の活動に共感し、サイト内での回遊性が高まるよう、情報設計とサイト構造の見直しを行いました。活動内容が明確に表示され、寄付ページへスムーズに誘導する導線を整備することで、ユーザーが自然な流れで寄付アクションに移行できるよう設計しました。
4. アクセシビリティ対策
誰でも簡単に操作できるWebサイトを目指し、アクセシビリティに配慮したデザインで構築を行いました。これにより、多様なユーザーがアクセスしやすい環境を実現しました。
5. SEO強化施策とページ最適化
SEO強化を図るため、コンテンツの最適化と検索エンジンへの露出を向上させる施策を導入しました。記事内に自然に関連キーワードを取り入れ、検索結果での上位表示を目指しました。また、ユーザーの興味に合わせたコンテンツ設計により、ターゲットユーザーを効果的に集客することを可能にしました。
6. 分析レポーティングと運用体制の構築
定期的にデータ分析を行い、Webサイトのパフォーマンスを可視化するためのダッシュボードを構築しました。これにより、寄付アクションの動向をリアルタイムで確認し、最適な施策を迅速に実行できる運用体制を確立しました。
結果
寄付フォームへの遷移率2倍。今後のWebサイト施策成果にも期待
リニューアル後間もないものの、既に特定のページから寄付フォームへの遷移率が2倍になるという大きな改善が見られています。サイトに訪問したユーザーが、自然な流れで寄付アクションに移行できるようユーザーフローの策定を行ったことが成果に結びついたものと考えています。また、エリア統括から日本市場の特性を押さえたローカライズに対する満足の声をいただいています。
定期的なデータ分析を通じてWebサイトのパフォーマンスを評価し、さらなる改善を行う体制を整えています。今後、以下の効果が期待されています。
1. 寄付者数の増加
新しいユーザーフローにより、訪問者が寄付フォームに迷わず到達できるため、寄付者数の増加が見込まれます。特にスマートフォンからの寄付率の向上が期待されています。
2. ブランディングとユーザー共感の向上
カスタマージャーニーを最適化したことで、環境問題に関心を持つ訪問者が団体に共感しやすくなり、長期的な支援者の転換が促進されます。
3. ユーザー回遊率の向上
ユーザーフローの設計により、訪問者がサイト内のコンテンツに容易にアクセスできるようになり、回遊性が向上しました。これにより、訪問者が団体の活動や成果を深く理解し、寄付を決断しやすくなります。
今後も、団体は寄付増加と持続的な活動を目指し、さらなる施策を実施予定です。特に、遺贈やカスタマーサクセス、広告実施、データ活用などを通じて、新たな寄付者数の増加や既存支援者の寄付と信頼を獲得していくことが期待されています。日本社会の中でより信頼され、影響力のある団体としてブランドを強化することに貢献できるよう、今後も継続してご支援を行ってまいります。