「勘」から「数字」へ。経営層に響くデータ分析基盤の作り方
前回までの記事(要件定義のコツ、HubSpot設計の勘所、定着化と伴走設計、新規開拓より「掘り起こし」を優先すべき理由、「らしさ」をどう言葉にするか。)で、HubSpot環境の導入から運用開始、具体的なマーケティング戦術、戦略についてお話して参りました。実プロジェクトに基づく連載の最後は経営層に響くデータ分析基盤の作り方をお話いたします。
この記事の要約(TL;DR)
- 現場に売上や成約率のデータはあっても、経営判断にすぐ使える形になっていないケースは少なくありません
- 経営層が本当に必要としているのは、切り口を変えて何度でも見られる多次元的な分析です
- ドリルダウンできる設計にすることで、「なぜその数字なのか」まで追えるようになります
- リアルタイムダッシュボードと定型のカスタムレポート、両方の需要に応える設計が求められます
- データ分析基盤の質が、経営判断のスピードと精度を左右します
なぜ経営層向けのデータ分析が後回しにされがちなのか
営業現場のデータ活用が進んでも、経営層向けの分析基盤は後回しにされがちです。

現場データはあっても、経営判断に使える形になっていない
売上、リード獲得コスト、成約率といった重要なデータが各システムに分散しており、経営層がリアルタイムで正確なビジネス状況を把握できていない、という声は業界を問わずよく耳にします。データそのものは存在していても、経営判断に必要な形式に整理・統合されていないことが根本的な原因です。
「なんとなく」の管理から「数字」に基づく管理への転換
戦略的な意思決定に必要な統合データの取得に時間がかかると、市場変化への迅速な対応が難しくなります。感覚的な経営判断から、数字に基づいた意思決定へと転換するためには、まずデータ分析基盤そのものの設計を見直す必要があります。
経営層が本当に見たい指標とは何か
営業担当者別・物件種別・期間別など、切り口を変えて見られることが重要
経営層が求める分析は、単一の切り口では終わりません。営業担当者別、物件種別、期間別といった複数の軸で売上実績や成約率、リードタイムを見比べられることが重要です。一つの数字だけを見ても、それがどこから来ているのかが分からなければ、次の打ち手にはつながりません。
ドリルダウンで「なぜその数字なのか」まで追えるようにする
全体の数字を見て終わりではなく、気になった数字があれば、そこから詳細を掘り下げて見られる「ドリルダウン」の設計が求められます。この機能があることで、「なぜこの担当者の成約率が高いのか」「なぜこの期間だけリードタイムが伸びたのか」といった問いに、現場の勘に頼らずデータで答えられるようになります。
リアルタイムダッシュボードとカスタムレポートの設計思想(要件定義より)
経営会議のたびに手作業で集計する非効率からの脱却
経営会議のたびに、複数のシステムから手作業でデータを集計してレポートを作成している、という状態は珍しくありません。こうした運用は担当者の負荷が大きいだけでなく、データの鮮度も落ちてしまいます。リアルタイムで数字を確認できるダッシュボードを整備することが、この非効率から脱却する第一歩です。
定型レポートと自由分析、両方の需要に応える設計
一方で、すべてを定型レポートだけで完結させようとすると、経営層が新たに気になった切り口を都度分析できません。あらかじめ用意された定型レポートに加え、カスタムレポートを柔軟に作成できる仕組みも併せて設計することで、両方の需要に応えられる分析基盤になります。

データ分析基盤は、経営判断のスピードを左右する
ここまで6回にわたり、課題整理から始まる要件定義、HubSpotの設計・導入、現場への定着化と伴走運用のスタイル、長期検討層への掘り起こし、そして自社らしさを軸にしたブランド想起の設計と、不動産営業DXを支える一連の取り組みをご紹介してきました。今回取り上げた経営データ分析基盤は、これらすべての施策が生み出したデータを最終的に経営判断へとつなげる、いわば連載の締めくくりにふさわしいテーマです。現場のデータ活用が進んでも、それが経営層の意思決定に届く形になっていなければ、組織全体の成果にはつながりません。多次元分析、ドリルダウン、リアルタイムダッシュボード、カスタムレポートという4つの要素を押さえた分析基盤の設計が、経営判断のスピードと精度を大きく左右します。
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