HubSpotで帳票を出す4つの手段を比較|標準機能・専用アプリ・外部連携・自社開発
HubSpotで見積書や請求書を出したい、と考えたときの選択肢は4つあります。標準機能を使う、HubSpot内で発行する専用アプリを入れる、外部の販売管理・会計SaaSと連携する、自社で開発する。
どれが正解かは会社によって変わります。ただ、選び方の順序を間違えると、どれを選んでも後悔します。よくあるのは、デザインの自由度や月額費用から入って、電子帳簿保存法の保存要件が後から出てくるパターンです。要件を先に確定させないと、比較表を作っても判断材料になりません。
この記事では、4つの手段を帳票に固有の観点だけで比較します。適格請求書として成立するか、電帳法の保存に耐えるか、社内承認を通せるか、発行したあとを追えるか。費用やデザインの話はそのあとです。制度に関する記述は国税庁とe-Govの一次情報に当たり、条文番号とQ&Aの問番号を併記しています(確認日:2026年8月31日)。
帳票の発行から保存までの全体像はHubSpotで帳票を発行・管理する完全ガイドにまとめています。
1. 比較の前に、決めておくこと
手段を先に決めると、要件が後追いになります。順序は逆です。次の4つを確定させてから比較してください。この4つで、選べる手段がかなり絞られます。
1-1. 出す帳票の種類を確定する
見積書・請求書・納品書・領収書。ここまでは多くの手段で出せます。判断が分かれるのは適格返還請求書です。
返品、値引き、割戻し(リベート)があると、売上に係る対価の返還等として適格返還請求書の交付義務が生じます(消費税法57条の4第3項)。税込1万円未満なら免除されますが、判定は請求や債権の単位ごとの減額金額で行います。年間の合計ではありません。
この帳票は、扱える手段とそうでない手段がはっきり分かれます。返品や値引きが日常的に発生する事業なら、比較の最初のふるいにしてよい項目です。詳しくは適格返還請求書の交付義務と、1万円未満が免除される判定単位で扱っています。
1-2. 税率の混在と源泉徴収の有無を確認する
軽減税率8%が混ざるか。士業や制作会社への支払いで源泉徴収が発生するか。ここが計算の複雑さを決めます。
特に注意が必要なのは端数処理です。消費税額の1円未満の端数処理は、一の適格請求書につき税率ごとに1回でなければなりません(消費税法施行令70条の10、インボイスQ&A問57)。行ごとに丸めて合算する処理は認められていません。Excelのひな形で「行ごとに消費税列を持たせて合計する」構造になっている場合、要件を満たしていない可能性があります。
1-3. 保存の要件は、売上規模で変わる
電子帳簿保存法の検索要件は、全社が同じではありません。判定期間に係る基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務職員によるデータのダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、検索要件そのものが不要になります(電子帳簿保存法施行規則4条1項、Q&A問51)。
ここでの判定期間は、個人事業者なら前々年、法人なら前々事業年度です。2期前の売上高で判定されるため、伸びている企業はある年から突然、検索要件が必要になります。いま不要だからという理由で手段を選ぶと、2年後に作り直すことになります。
1-4. 承認が必要かを決める
金額の大きい見積や、値引き率の高い請求を、担当者の判断だけで出してよいか。必要なら、対象範囲・段階数・各段階の成立条件・承認後に内容が変わった場合の扱いの4つを決めます。
4つ目が抜けている運用が最も多く、しかも最も効きます。詳しくは4-1で扱います。
2. 4つの手段の全体像
前提として、多くの会社の「いまの状態」は手段のどれでもなく、Excelのひな形で作って会計ソフトに手入力するという運用です。これは選択肢というより、比較の出発点として置いておきます。
| 手段 | 帳票を作る場所 | 向いている状況 | 向かない状況 |
|---|---|---|---|
| ① 標準機能 | HubSpot内 | 発行点数が少ない。様式にこだわらない。保存は別の仕組みがある | 押印が必要。適格返還請求書を出す。保存まで1か所で完結させたい |
| ② 専用アプリ | HubSpot内 | 取引レコードから離れずに発行したい。要件の検証を仕組みに持たせたい | 既存の紙様式を1mm単位で再現したい。通関書類など特殊帳票が必要 |
| ③ 外部連携 | 外部SaaS内 | すでに販売管理・会計SaaSを使っている。会計処理まで一貫させたい | 営業が帳票の状態をHubSpotで見たい。2か所を見に行く運用を避けたい |
| ④ 自社開発 | 自社システム | 業界固有の帳票がある。開発と保守の体制がある | 制度改正に自社で追従し続ける体制がない |
2-1. ① HubSpotの標準機能
見積・請求書・決済の機能を使い、必要に応じてワークフローとカスタムプロパティで補います。追加の費用がかからず、取引データからそのまま作れるのが利点です。
弱いのは日本固有の部分です。押印、縦組みの様式、適格返還請求書、交付した写しの7年保存。このあたりは標準の想定に入っていません。作り込みで埋める場合、どこまで作るかの線引きを先に決めないと、工数が青天井になります。
標準の見積機能で適格請求書の記載事項6項目をどこまで満たせるかは、標準見積機能で適格請求書の6項目を満たせるかで項目ごとに検証しています。
2-2. ② HubSpot内で発行する専用アプリ
取引レコードのカードから帳票を発行するタイプです。営業がHubSpotから離れずに済み、要件の検証を発行の手前に組み込めます。
ただし製品ごとの差が最も大きいのがこのカテゴリです。「HubSpotで帳票が出せる」という点は同じでも、発行前の検証をするか、原本をどこに置くか、承認フローを持つかはばらばらです。3章以降の比較軸は、そのままベンダーへの質問リストとして使えます。
なお、既存の運用に合わせた帳票の自動生成を支援で組む方法もあります(帳票を自動生成し工数削減と業務品質を両立)。アプリを入れるか、支援で組むかは、出す帳票の種類と発行点数で決まります。
2-3. ③ 外部の販売管理・会計SaaSと連携する
HubSpotの取引データを外部SaaSに渡し、帳票はそちらで発行します。会計処理まで一貫するのが強みで、帳票ツールとしての実績が長い製品が多い領域です。
気をつけるのは取引の状態と帳票の状態が2か所に分かれることです。営業が「この案件、請求書は出たのか」を確認するのに別のシステムを開くことになります。連携の粒度(どの項目が渡るか)と同期のタイミング(手動か自動か、双方向か片方向か)を詰めておかないと、二重管理が形を変えて残ります。
実際に連携して二重管理を解消した例はHubSpotと外部の販売管理SaaSを連携した事例にまとめています。
2-4. ④ 自社で開発する
要件を完全に合わせられます。業界固有の帳票がある場合は、これしか選べないこともあります。
負担は作ることよりも続けることに出ます。2026年10月の経過措置の変更のように、制度は定期的に変わります。そのたびに仕様を読み、実装し、検証するのが自社の責任になります。直近で何が変わったかは2026年10月1日からの経過措置の変更点にまとめました。追従の作業量の目安として読んでみてください。
3. 法令要件で比較する
ここからが本題です。手段ごとに「できる・できない」で割り切れるものではないので、何を確認すればよいかの形で整理します。
| 確認すること | ① 標準機能 | ② 専用アプリ | ③ 外部連携 | ④ 自社開発 |
|---|---|---|---|---|
| 記載事項6項目を発行前に検証するか | 自前で作り込む | 製品ごとに差がある。要確認 | 外部SaaS側の仕様による | 自社で実装 |
| 端数処理が税率ごとに1回か | 計算方法を確認して作り込む | 要確認。丸め方を選べるかも | 外部SaaS側の仕様による | 自社で実装。テストを置く |
| 適格返還請求書を出せるか | 標準の想定に入っていない | 要確認。差が出やすい | 外部SaaS側の仕様による | 自社で実装 |
| 検索要件3項目を満たすか | 台帳を別に用意する必要がある | 要確認。範囲指定と組み合わせまで見る | 外部SaaS側で満たすことが多い | 自社で実装 |
| 原本が削除できない場所にあるか | 添付ファイルは削除できる | 最も差が出る。要確認 | 外部SaaS側の保存領域を確認 | 保持ロックの設計が必要 |
3-1. 発行前に止める仕組みがあるか
適格請求書の記載事項は6項目あります(消費税法57条の4第1項1号〜6号)。問題は、要件を満たしていない帳票は出したあとに気づいても取り返しがつかないことです。買手が仕入税額控除を受けられなくなるため、受け取った側の税負担が増えるという形で表面化します。
そこで効くのが、発行の手前で検証して止める仕組みです。登録番号が「T」+13桁になっているか、軽減税率対象の表示があるか、税率ごとの消費税額が出ているか。目視の確認をやめられるかどうかが、手段を分ける実質的な差になります。
3-2. 検索要件は、範囲指定と組み合わせまで見る
電子帳簿保存法の検索要件は3つです。取引年月日・取引金額・取引先で検索できること、日付と金額を範囲指定できること、2以上の項目を組み合わせられること(電子帳簿保存法施行規則2条6項5号イ・ロ・ハ)。
「検索できます」と説明されていても、ロとハまで満たしているかは別です。「2026年9月から10月」かつ「10万円以上」かつ「A社」という絞り込みができるかを、実際の画面で確認してください。ファイル名に日付と取引先を入れて並べる運用では、ロとハが満たせません。具体的な満たし方は電子帳簿保存法の検索要件3項目をHubSpotで満たすで扱っています。
3-3. 原本をどこに置くかが、いちばん差が出る
交付した適格請求書の写しには7年の保存義務があります(消費税法57条の4第6項)。起算点は交付日ではなく、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日です。3月決算の法人が2026年5月に交付した請求書なら、2027年6月1日から7年。実質的には交付から8年強になります。
ここで分かれるのが、PDFをどこに置くかです。HubSpotのレコードに添付するのは運用として便利ですが、HubSpot Filesのファイルは権限を持つユーザーが削除できます。削除できるものを保存義務の担保にはできません。
ベンダーに聞くとよい質問
「発行したPDFの原本は、どこに、どういう状態で保存されますか。ユーザーが削除できますか。削除できない設定になっている場合、その証明はどう出せますか。」
原本とコピーの切り分けについてはHubSpotに添付したPDFは「原本」なのかで詳しく扱っています。
この章の確認項目を、チェックシートにまとめました
適格請求書の記載事項6項目、消費税額の端数処理、適格返還請求書、電子帳簿保存法の検索要件と7年保存まで、条文番号とQ&Aの問番号つきで一覧にしました。手段を比較するときの質問リストとしてそのまま使えます。
4. 発行の前後の業務で比較する
法令要件を満たせば終わりではありません。実際に運用に乗るかは、発行の前後の業務で決まります。
4-1. 社内承認をどこで持たせるか
HubSpotには見積の承認とパイプラインの承認がありますが、利用にはプランの条件があり、対象となるオブジェクトも限られます。請求書そのものを承認の対象にすることは、標準では想定されていません。
そのため、ワークフローで上長にタスクを作る、カスタムプロパティのチェックボックスで持たせる、といった代替が取られます。どちらも動きはしますが、共通の弱点があります。何に対して承認したのかが残らない。
これが問題になるのは、承認のあとに金額や明細を変更して発行できてしまう場面です。承認の記録は「その時点で見た内容」を証明していません。対策の考え方は明確で、承認は帳票の内容そのものに対して行い、内容が変わったらその承認を無効にします。
手段を比較するときは、多段承認ができるかだけでなく、承認後の変更をどう扱うかまで聞いてください。詳しくはHubSpotで見積の多段承認を組むと承認したあとに金額を書き換えられる、を止めるで扱っています。
4-2. 請求もれと入金を追えるか
発行できるようになると、次に出てくるのが「出したあとを追えていない」という課題です。ここは2つの別の問題です。
| 追うもの | 必要なデータ | 手段を選ぶときの観点 |
|---|---|---|
| 請求もれ | 「どの明細行を、どの帳票で請求したか」の記録 | 発行の記録だけでは数えられない。引き算ができる形でデータを持つか |
| 未入金 | 請求額と入金額の突合 | 一部入金を表現できるか。期日超過を状態ではなく属性として持てるか |
未入金の状態は、未入金・一部入金・入金済みの3つです。期日超過を4つ目の状態にしないことが要点で、状態に畳むと「一部入金だが期日も過ぎている」という、督促の現場で一番多いケースが表現できなくなります。請求もれと未入金を分けて数える設計で詳しく扱います。
4-3. 顧客に出す明細を絞り込めるか
見落とされがちですが、実務で必ず出てきます。社内では1つの取引に、月次管理のための原価行や工数行を作っていることがあります。そのまま帳票にすると、顧客に原価が見えます。金額も全月合算になり、その月の請求額になりません。
工数の行を除く、原価の行を除く、対象月以外を除く。この絞り込みができるか、そして除外した行と理由が画面に出るか(黙って落とさないか)を確認してください。原価や工数をHubSpotのどこに持たせるかという設計そのものはHubSpotで案件別の原価・粗利を管理する方法で扱っています。
5. 運用の負担で比較する
5-1. 制度改正に追従するのは誰か
税制は定期的に変わります。2026年10月1日には、免税事業者等からの課税仕入れの経過措置が80%から70%に変わり、経過措置を使える課税仕入れの上限額が税込10億円から1億円に引き下げられました。売手側では2割特例が終わり、個人事業者向けの3割特例が始まります。
この手の変更が、数年おきに来ます。追従の作業を誰が負うかは、手段を選んだ時点で決まります。自社開発なら自社、それ以外ならベンダーです。ベンダーに任せる場合でも、改正があったときにどのくらいで反映されるかを聞いておくと差が見えます。
5-2. 状態が何か所に分かれるか
営業が「この案件、請求書は出たのか」「入金されたのか」を知りたいとき、どこを見るか。HubSpot内で完結していれば取引レコードを開くだけですが、外部SaaSに分かれていると2か所になります。
これは優劣ではなく、誰がその情報を必要とするかで決まります。経理だけが見るなら外部でも困りません。営業が与信や追加提案の判断に使うなら、HubSpot側に状態が返ってくる構成のほうが機能します。
5-3. デザインの自由度は、最後に効く
最初に聞かれることが多い項目ですが、優先順位は最後でよいと考えています。理由は2つあります。
1つは、デザインの自由度と法令要件の作り込みはトレードオフになりやすいこと。レイアウトを自由にできる仕組みは、裏を返せば中身の検証を仕組み側で持ちにくい構造になります。
もう1つは、実際に必要な自由度は多くの場合色・ロゴ・角印・項目名の調整までで足りること。既存の紙様式を1mm単位で再現する必要が本当にあるのかは、一度確認してみる価値があります。再現が必須なら、それは手段を絞る強い条件になります。
6. 4つの質問で絞る
ここまでの内容を、判断の順序に並べ直します。上から順に答えていくと、候補が絞られます。
| 順 | 質問 | 答えで変わること |
|---|---|---|
| 1 | 既存の紙様式を厳密に再現する必要があるか | 必要なら、デザインの自由度が高い手段に絞られる。不要なら候補が広がる |
| 2 | 返品・値引きがあるか/税率が混在するか | あれば、適格返還請求書と端数処理が必須条件になる。①は作り込みが増える |
| 3 | 基準期間の売上高が5,000万円を超えるか | 超えるなら検索要件が必要。台帳を持てる手段に絞られる。2期前で判定する点に注意 |
| 4 | 帳票の状態を営業が見る必要があるか | 必要なら①②、経理だけでよいなら③も候補に入る |
6-1. ありがちな選び間違い
相談を受けていてよく見るのは、次の3つです。
- 月額費用から入る。費用は要件を満たす手段が複数残ったときの比較軸です。先に置くと、要件を満たさない選択肢が候補に残り続けます
- 「インボイス対応」と書いてあるかで判断する。対応を明示している製品は多く、差別化になりません。見るべきは発行前に検証して止めるかのほうです
- 保存を後回しにする。発行の検討で止まり、7年保存と検索要件が導入後に出てくるパターン。原本の置き場所は手段の選定条件なので、最初に確認してください
まとめ
4つの手段を比較するときの要点を整理します。
- 手段より先に要件を確定させる。出す帳票の種類、税率の混在と源泉徴収、保存の要件、承認の要否の4つ
- 法令要件は「できる・できない」ではなく「何を確認するか」で見る。特に発行前の検証と、原本の置き場所
- 承認は、多段にできるかだけでなく、承認後の変更をどう扱うかまで聞く
- デザインの自由度は最後。法令要件の作り込みとトレードオフになりやすい
どの手段を選んでも、確認すべきことは同じです。比較表を自分で作るより、確認項目を揃えてから各ベンダーに同じ質問をするほうが、結果的に早く決まります。
帳票の発行から保存までを通して整理したい場合はHubSpotで帳票を発行・管理する完全ガイドをご覧ください。
※ この記事の制度に関する記述は、国税庁およびe-Govの公開情報に基づき、2026年8月31日時点で確認したものです。電子帳簿保存法やインボイス制度の解釈、自社の運用が要件を満たすかの最終的な判断については、顧問税理士・会計士にご相談ください。
HubSpot帳票 法令要件チェックシート(全24項目)
この記事で挙げた確認項目を、条文番号とQ&Aの問番号つきで一覧にしました。どの手段を検討する場合でも、ベンダーへの質問リストとしてそのまま使えます。
よくあるご質問
Q. HubSpotの標準機能だけで帳票の運用は完結しますか?
発行点数が少なく、様式にこだわらず、保存については別の仕組みを持っているなら、標準機能で足りることもあります。足りなくなるのは、押印が必要な場合、適格返還請求書を出す場合、交付した写しの7年保存まで1か所で完結させたい場合です。特に保存は、HubSpotのレコードに添付したPDFが権限を持つユーザーに削除できるため、保存義務の担保にはなりません。どこまで作り込むかの線引きを先に決めることをおすすめします。
Q. 外部の販売管理SaaSと連携するのと、HubSpot内で発行するのは、どちらがよいですか?
優劣ではなく、帳票の状態を誰が見るかで決まります。経理だけが見るなら外部連携で困りません。営業が「請求書は出たか」「入金されたか」を与信や追加提案の判断に使うなら、HubSpot内で完結する構成のほうが機能します。外部連携を選ぶ場合は、連携の粒度(どの項目が渡るか)と同期のタイミング(手動か自動か、片方向か双方向か)を事前に詰めてください。ここが曖昧だと、二重管理が形を変えて残ります。
Q. 「インボイス制度対応」と書いてある製品なら安心ですか?
対応を明示している製品は多く、それ自体は差別化になりません。確認したほうがよいのは、要件を満たさない帳票を発行できてしまうかどうかです。登録番号が「T」+13桁になっているか、軽減税率対象の表示があるか、税率ごとの消費税額が出ているかを発行の手前で検証して止める仕組みがあるか。もう1つは端数処理で、一の適格請求書につき税率ごとに1回になっているかを確認してください(インボイスQ&A問57)。行ごとに丸めて合算する処理は認められていません。
Q. 電子帳簿保存法の検索要件は、どの手段でも満たせますか?
満たせるかは手段そのものではなく、台帳を持てるかで決まります。要件は3つあり、取引年月日・取引金額・取引先で検索できること、日付と金額を範囲指定できること、2以上の項目を組み合わせられることです。「検索できます」という説明でも範囲指定と組み合わせまで満たしているとは限らないので、実際の画面で「期間」かつ「金額」かつ「取引先」の絞り込みを試してください。なお、基準期間の売上高が5,000万円以下でダウンロードの求めに応じられる場合は、検索要件そのものが不要になります。
Q. 自社開発は現実的な選択肢ですか?
業界固有の帳票があり、開発と保守の体制がある場合は現実的です。負担が出るのは作るときよりも続けるときで、制度改正への追従が自社の責任になります。2026年10月1日の経過措置の変更(80%から70%への引き下げと上限額の見直し)のような改正が数年おきに来るため、そのたびに仕様を読み、実装し、検証する工数が発生します。体制があるかどうかを、開発費用とは別に評価してください。
Q. 帳票のデザインはどこまで自由にできますか?
手段によって幅がありますが、優先順位としては最後に置くことをおすすめします。デザインの自由度と法令要件の作り込みはトレードオフになりやすく、レイアウトを自由にできる仕組みは中身の検証を仕組み側で持ちにくい構造になるためです。また、実際に必要な自由度は色・ロゴ・角印・項目名の調整までで足りることが多く、既存の紙様式を1mm単位で再現する必要が本当にあるかは一度確認してみる価値があります。再現が必須なら、それは手段を絞る強い条件になります。
Q. 比較するときに、ベンダーへ何を聞けばよいですか?
この記事で挙げた観点がそのまま質問になります。発行前に記載事項を検証して止めるか。端数処理は税率ごとに1回か、丸め方を選べるか。適格返還請求書を出せるか。検索要件は範囲指定と組み合わせまで満たすか。発行したPDFの原本はどこに保存され、ユーザーが削除できるか。承認は多段にできるか、承認後に内容が変わった場合はどうなるか。制度改正にどのくらいで追従するか。同じ質問を各社に投げると、回答の具体性そのものが判断材料になります。